新型コロナウイルス感染拡大 米食肉業者で施設閉鎖相次ぐ

新型コロナウイルス感染拡大 米食肉業者で施設閉鎖相次ぐ
新型コロナウイルスの感染拡大が続くアメリカでは、豚肉などの加工施設が従業員の集団感染によって相次いで閉鎖されています。
全米の豚肉加工の能力が25%減少したという試算も出ていて、食肉の安定的な供給が脅かされかねないとの声も上がっています。
アメリカの食肉大手、「タイソン・フーズ」は22日、アイオワ州にある豚肉の加工施設の稼働を無期限で停止すると発表しました。

地元メディアによりますと、この施設では従業員およそ180人に新型コロナウイルスの感染が確認され、同じ施設に出入りする2800人の検査を行うため、稼働の停止を決めたということです。

アメリカ国内では、ほかにも豚肉生産大手「スミスフィールド・フーズ」の中西部サウスダコタ州の施設で、従業員700人余りが集団感染し、閉鎖に追い込まれるなど、食肉加工施設で感染が広がり検査や消毒のために閉鎖されるケースが相次いでいます。

食品加工業の従業員などでつくる労働組合は23日、これまでに全米で13の加工施設が閉鎖され、それによって食肉加工の能力が豚肉で25%、牛肉で10%減少したとする試算を公表したうえで、「アメリカの食肉供給は脅威に直面している」と訴えました。

また、集団感染の背景には、マスクなどの物資の不足があるとして、食料生産など生活に必要不可欠な仕事に従事する労働者には優先的に配布されるよう国に対策を求めています。

農水省担当者「国内の供給は足りている」

日本はアメリカから牛肉と豚肉をそれぞれ年間20万トン以上輸入していて、食肉分野で最大の輸入相手国の1つです。

アメリカの食肉加工施設で、新型コロナウイルスの感染が従業員に広がり閉鎖が相次いでいることについて農林水産省の担当者は、「閉鎖は一時的なものだと認識しているが、こうした施設でさらなる感染拡大が起きないか注視している。日本への輸入には今のところ支障は出ておらず、新型コロナウイルスの影響で外食産業などの需要も減っているので、国内で食肉が足りなくなるような状況では、全くない」と話しています。