留学生の多くが来日できず 厳しい経営の日本語学校 新型コロナ

留学生の多くが来日できず 厳しい経営の日本語学校 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染防止の影響で、全国200校余りの日本語学校で受け入れ予定だった留学生の8割にあたる1万1600人余りが来日できず、このままの状況が続けば、授業料収入が見込めず、厳しい経営を迫られていることがアンケートから明らかになりました。
日本語学校が加盟する6つの団体では新型コロナウイルスの影響に関する緊急のアンケート調査を今月行い、32の都道府県の208校から回答がありました。

それによりますと、日本政府が感染防止対策として170余りの国と地域で発給済みのビザの効力を停止する措置をとっていることなどから、新学期に合わせて今月受け入れる予定だった留学生のうち、84%にあたる1万1653人が今も来日できていないということです。

また、全体のおよそ72%にあたる149校で来日できた留学生は当初の予定の10%未満で、このうち86校では1人も来日できていません。
また、困っていることについては、69校が経営に支障をきたしていると答え、43校が留学生の金銭上の問題を挙げました。

具体的には、新入生の入国のめどが立たず学費返納の問い合わせが相次いでいるとか、来日している学生のアルバイトも激減して金銭的に困窮し、学費の未納が出ていると心配する声が寄せられています。

アンケートを取りまとめた事務局を務める谷一郎さんは、「留学生が来日できないことで日本語学校の資金繰りはかなり苦しくなっている。在校生も感染が怖いという理由で退学する学生も出てきた。留学生は日本社会の大事な構成員ですので配慮してほしい」と話していました。

留学生が大幅減なら日本社会に影響大

新型コロナウイルスの影響で来日する留学生が大幅に減れば、人手不足に悩む日本社会に大きな影響が出る可能性があると日本語学校の校長らは訴えています。

アンケートを実施した日本語学校が加盟する6団体の事務局を担い、自身も日本語学校の校長である谷一郎さんは、「日本語学校の留学生の多くは、大学や専門学校に進学しています。直接日本企業に就職する人も伸びている。しかし、生徒の数が半分になれば、1年後2年後に大学などに進学する学生が半減して、日本に就職する学生も減ってしまう」と懸念しています。

また関東地方にある日本語学校の理事長は、「日本は高齢化社会で日本に来て働きたいという留学生をわれわれは育てていかなければいけないという思いがある。希望をかなえてあげられるように精いっぱいできることはやりたいが、今は自分たちの能力だけではどうしようもできない」と現状を訴えています。