未配の布マスクすべて回収へ 不良品問題で2社 新型コロナ

未配の布マスクすべて回収へ 不良品問題で2社 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い政府が配布を始めた布マスクの一部から不良品が見つかった問題で、マスクを納入している大手医薬品メーカーの興和と大手商社の伊藤忠商事はまだ配布していないマスクをすべて回収すると発表しました。
深刻なマスク不足に対応するため政府は、妊婦向けのほか、全国すべての世帯を対象に布マスクの配布を始めましたが、その一部から汚れがついているなど不良品の報告が相次いでいます。

これを受けて、布マスクを納入している興和と伊藤忠商事の2社はまだ配布していないマスクをすべて回収することになりました。

両社のマスクはともに海外の工場で生産されたもので、今後は現地での検品に加えて日本に輸入したあとも再度、点検するなどして検品体制を強化するとしています。

興和は「このたびの事態を真摯(しんし)に受け止め、全量を回収したうえで再検品する」としているほか、伊藤忠商事は「感染防止に向けた取り組みにできるかぎりの協力をしていく」とコメントしています。

梶山経産相「しっかりした品質を」

政府が配布を始めた布マスクの一部から不良品が見つかった問題で、納入している企業がまだ配布していないマスクをすべて回収すると発表したことについて、梶山経済産業大臣は24日の記者会見で「しっかりとよいものを届ける。届けるのであればしっかりした品質のものを届けるのは当たり前のことだ」と述べました。

また、不良品が相次いで見つかった理由について、梶山大臣は、「現時点では報道発表までの認識しかない。正すべきものは正していくということかと思う」と述べました。

官房長官「予定より遅れるが なるべく早く配布したい」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、政府が配布を始めた布マスクの一部から不良品が見つかった問題について、「品質確保の対応を強化しており、メーカーによる検品に加え、メーカから納品された製品を確認したうえで配布している。また、厚生労働省で、不良品の存在を確認しているのは2社だが、ほかの会社にも検品体制の強化を求めている」と述べました。

また、記者団から、全世帯への布マスクの配布を続けるのか問われたのに対し、菅官房長官は、「国内のマスクの総量が不足する中で、国民の皆さんの不安を解消する目的で、今回の全世帯マスクの配布は必要な対応であり、代替できる手段はない」と述べました。

そのうえで、「配布前のマスクの回収を行い検品を行うため、予定より配布が遅れるのは事実だと思うが、なるべく早く配布をできるよう取り組んでいきたい」と述べました。

また、菅官房長官は「予算額466億円のうち、現在は半数の6500万枚の調達配送のため、予備費233億円の執行を進めているが、より安く、早く調達をすることに努めた結果、調達費用が90億円に収まる予定であり、残りの金額は、マスクの配布には使用されないことになる」と述べました。

立民 逢坂政調会長「場当たり的な政策で怒り」

立憲民主党の逢坂政務調査会長は記者団に対し「安倍総理大臣は、国民にマスク2枚を配布してマスク不足に対応すると言っていたのに、回収するというのはどういう気持ちか。ありえない話で、場当たり的な政策をやってきたツケとしか思えず、怒りが沸き上がる」と述べました。

国民 泉政調会長「予算と人のむだ 極めて問題」

国民民主党の泉政務調査会長は記者団に対し「多額の費用を使って国民に迷惑をかけ、緊迫した状況の中でむだな行政を発生させた。予算と人のむだは極めて問題だ」と述べました。