アルコール濃度高い酒 高値で転売相次ぐ 国税庁が監視強化

アルコール濃度高い酒 高値で転売相次ぐ 国税庁が監視強化
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新型コロナウイルスの感染拡大でアルコール消毒液が不足する中、厚生労働省が消毒液の代わりに使用することを認めているアルコール濃度が高い酒が、インターネット上で高値で転売されるケースが相次いでいます。国税庁は無免許での転売は法律に違反する可能性があるとして、監視を強化しています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために必要なアルコール消毒液は、供給が追いつかない状態が続いていて、厚生労働省は医療機関などがやむをえない場合に限り、酒造メーカーが造るアルコール濃度が高い酒などの「高濃度エタノール製品」を、消毒液の代わりに使うことを認める通知を出しています。

これを受けて各地の酒造メーカーが「高濃度エタノール製品」の販売を始めていますが、インターネット上のフリマアプリやオークションサイトで、定価の2倍から3倍の高値で転売されるケースが相次いでいます。

酒の販売業を営むには酒税法に基づく免許が必要になりますが、国税庁は無免許の個人が多くの商品を購入して転売した場合には法律に違反する可能性があるとして、監視を強化しています。

今月から高濃度エタノール製品の販売を始めた富山県砺波市の「若鶴酒造」の稲垣貴彦取締役は「転売で利益を得ようとする人が出てくるのは非常に残念だ。医療機関など、本当に必要な人に届けたいというのが私たちの思いだ」と話しています。

国税庁 大量出品は法律違反にも

国税庁によりますと、酒の販売業を営むには酒税法に基づく免許が必要で、無免許で販売した場合には1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。

原則として無免許で「反復・継続」して酒を販売した場合に法律違反になるとしていて、お歳暮などで受け取った酒をフリマアプリに1回だけ出品したケースなどは法律に抵触する可能性は低いということです。

しかし「反復・継続」していない、たとえ1回の出品であっても、多くの商品を転売すれば法律に違反する可能性があるとしています。

国税庁はこうした転売について監視を強化していて、「全国の国税局や税務署で情報収集に当たり、目を光らせている」としています。

酒造メーカー マスク同様の転売規制を

富山県砺波市の「若鶴酒造」は、今月13日からアルコール度数が77度の高濃度エタノール製品の販売を始めました。販売開始から23日までに1000件を超える問い合わせが相次いでいて、医療機関や介護施設に最優先に出荷しているほか、一部は地元の人たちのために直営店で1世帯1本限定で販売しているということです。

しかし最近になって、インターネットのオークションサイトで定価のおよそ2倍の高値で転売されているのを複数確認したということです。

「若鶴酒造」の稲垣貴彦取締役は「医療機関からの問い合わせが多く、消毒用のアルコールが現場で不足していることを強く感じていたので、転売で利益を得ようとする人が出てくるのは非常に残念だ。本当に必要な人に届けたいというのが私たちの思いで、マスクのように転売を規制してもらうしかないと思う」と話していました。