狂いやすい“時計”って? 新型コロナウイルス

狂いやすい“時計”って? 新型コロナウイルス
「外出できない」「収入が減った」「感染がこわい」…
新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちの生活はすっかり様変わりしています。慣れない生活で心の不調を訴える人も多く、ネット上では、各地で「心療内科の病院が混み始めている」という声もあがっています。先が見えない戦いが続く中で“コロナうつ”にならないよう、心の平穏を保つにはどうしたらいいのでしょうか。
(ネットワーク報道部記者 有吉桃子・田隈佑紀)

心療内科に続々と…

新型コロナウイルスの影響で、ネット上では心の不調を訴える声があとを絶ちません。

「すごい孤独感。何かする気にもならないし。これコロナ鬱ってやつ?」
「やっぱり仕事してないとダメだ、、部屋に籠りきりだと、ホント色々考えて死にたくなる」

さらに、最近は、各地の心療内科が混み合っているという声も目立っています。

「連休前だからか心療内科も超三密。コロナ関係以外の医療関係者の方も大変だ」
「心療内科めっちゃ混んでる~」
「近所の心療内科行ったら、やけに混んでました。昨今のテレワークで増えたそうで」

医療関係者と見られる人のこんな書き込みも。

「今回のコロナによって精神科も最近もうパンク寸前です…。元々精神疾患のある方だけでなく、コロナ鬱などで新規患者さんの数もめっちゃ増えてます。精神科にも支援をお願いしたい」

医師も「コロナうつ」リスク指摘

実際に、新型コロナウイルスの影響で、心の不調を訴える患者が増えていると指摘する医師もいます。

東京歯科大学准教授で、市川総合病院の精神科部長、宗未来医師。
宗医師によると、以前から心の病を抱え症状が悪化した人のほか、高齢者、妊娠中の女性、医療従事者といった感染への不安が強くなりやすい人、それに一般の会社員など、幅広い人が病院を訪れているといいます。
宗医師
「慣れない生活、会いたい人に会えないフラストレーションに悩む人のほか、仕事や学校でふだんは適度に距離があった家族と、長時間、家に一緒にいることで『もう無理!』と感じる人も多いのではないでしょうか。先の見えない不自由な状況でやり場のないストレスが続くと“コロナ疲れ”から生じるいわゆる“コロナうつ”を患う危険性があります」

こころの健康維持のコツ

そのうえで宗医師が紹介してくれたのは、国際学会で発表され、自身が翻訳に関わった「こころの健康維持のコツ」という提言。

この提言をもとに、心穏やかに生活するためのポイントを教えてくれました。

狂いやすい“時計”を合わせる

最も大事なのは“体内時計”だそうです。
宗医師
「“体内時計”がスムーズに働くと私たちは心身共に心地よさを感じるようにできていて、逆に乱れると多岐にわたって心身の状態が悪化します。そして時計なのにすぐに狂うという困った習性を持っているので時刻合わせが重要です」
時刻合わせのための具体的な4つのポイントを挙げてくれました。

1:睡眠

▽毎日同じ時間に寝起きする。
▽昼寝はできるだけ避ける。
▽夜間にブルーライトなど明るい光を浴びるのは避ける。

2:食事

▽毎日同じ時間に食事をする。とりわけ朝食は大切。食欲がなくても時間が来たら少量でも口にする。
▽アルコールも時計を狂わせるので飲み方には要注意。睡眠の深さが失われるので寝酒は厳禁。昼酒や飲み過ぎはうつの原因になることも。

3:運動

▽毎日、できれば同じ時間帯に運動。3密を避けて一日一回は外に出て体を動かす。

4:日課

▽洗顔や歯磨き、在宅での仕事や勉強など毎日行うものは同じ時間に行う。
▽外出できないときでも少なくとも2時間は窓際で過ごし太陽の光を浴びて心が落ち着く時間を持つ。

また、スムーズな体内時計の働きのためには、対人関係も大切だそうです。
そのポイントもまとめてくれました。

人との交流

▽テレビ電話などで毎日誰かと会話する機会を持つ。音声だけの電話や、リアルタイムのメッセージのやりとりでもOK。
▽家族など同居している人とのコミュニケーションでは、「助かるよ」とか「うれしい」などポジティブな気持ちを添える。
▽この機会に家族で家事などの役割分担を相談してみんなが心地よく“ステイホーム”できるルールを作る。
▽DV=ドメスティックバイオレンスなどがあるときは我慢せずに専門機関に相談する。
▽交流できる人間関係がないという人は心のうちを書き出すだけでも楽になれることも。

宗医師は、こうしたことを心がけても心に不調が現れてつらいと感じる場合は、医療機関など専門家に相談してほしいと話していました。

在宅勤務のストレスには

「日本産業カウンセラー協会」の伊藤とく美さんは、在宅勤務などによるストレスの相談も増えていると話しています。
相談では、「一人暮らしの狭い部屋で会話もほとんどなく、ずっと仕事をしていると孤独を感じてつらい」「在宅では仕事が思うように進まず、成果が出なくなって非常に焦りを感じてしまう」などといった声が寄せられているということです。
伊藤さん
「仕事の進め方が大きく変わったうえに、本来職場でできていたちょっとした雑談や、気分転換もできなくなり、知らず知らずストレスをため込んでいるケースが多い」
伊藤さんから、在宅で働く人たちへのアドバイスです。
▽規則正しく活動することが大切でタイマーなどを使い、職場に通っていたときのスケジュールどおりになるべく仕事をする。
▽30分に1回は立ち上がって軽く運動する。

また企業側に対しては、こう呼びかけます。
▽業務の指示以外になるべく雑談の機会を設ける。
▽悩みや体調の変化を気遣い、気軽に相談してほしいとメッセージを伝えることが必要。
伊藤さん
「1日5分でも10分でもいいので、身近な人や相談機関に電話したりして、自分の心にたまっているものを吐き出して共有する時間を大事にしてもらいたいです」

抱え込まずに電話を

心の状態が気になるけど、医療機関を受診すべきかどうかわからない…

そんな時は、近くにある公的な相談窓口を利用してみましょう。

相談窓口は、地域の保健所や保健センター、都道府県・政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターなどにあります。

自治体への電話やホームページでご確認ください。

また、全国共通の電話相談ダイヤルもあります。
「こころの健康相談統一ダイヤル」
0570-064-556
こちらにかけると、近くの公的な相談機関につながります。
相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なりますので、ホームページでご確認ください。
厚生労働省は、働く人の専用ダイヤルも設けています。
働く人の「こころの耳電話相談」
0120-565-455
月曜日・火曜日17:00~22:00 土曜日・日曜日10:00~16:00(祝日、年末年始はのぞく)
相談ダイヤルは混み合って電話がつながりにくい場合もありますが、時間を変えたりしながら繰り返しかけてみてください。

ひとりで抱え込まないことが大切です。
あなたの“大事な時計”は大丈夫ですか?