新型コロナ以外の患者6%陽性 地域の状況反映か 慶応大学病院

新型コロナ以外の患者6%陽性 地域の状況反映か 慶応大学病院
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東京の慶応大学病院が今月、新型コロナウイルス以外の患者67人に対して、感染しているかどうか調べる検査を行ったところ、およそ6%の人が陽性だったことが分かり、病院は地域での感染の状況を反映している可能性があるとしています。
慶応大学病院によりますと、今月13日から19日の間に新型コロナウイルス以外の患者、67人に対して、手術前や入院前に感染しているかどうか調べるPCR検査を行ったということです。

患者は全員、新型コロナウイルスに感染した際に見られる症状はありませんでしたが、およそ6%にあたる4人が陽性と確認されたとしています。

この結果について、慶応大学病院は患者は病院の外で感染したものと考えられ、地域での感染状況を反映している可能性があるとしています。

慶応大学病院では、これまでに院内感染の疑いが強いとされる東京 台東区の永寿総合病院から転院してきた患者を発端に入院患者や医師などが感染し、診療に影響が出たほか、集団で会食していた研修医およそ20人が感染していますが、このほかに感染拡大はないとしています。

専門家「予想以上に市中感染者がいる可能性も」

慶応大学病院の調査でおよそ6%に当たる4人の患者が陽性だったことについて、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「病院という特殊な環境であるため、そのまま全体に当てはまるかは分からないが、これまでの予想以上に市中に感染者がいる可能性は考えられる。ただ、感染した人からほかの人にどの程度ウイルスが広がるかは分かっていないことも多いので、冷静に対応する必要がある」と話しています。

また、軽症の患者のホテルや自宅での療養について、「この感染症は容体が急激に悪化するおそれがあり、軽くても症状が出ている人に対しては医師が定期的に診察できる態勢が必要だ。今後も自宅で療養する人はさらに増えていくと考えられ、こうした態勢づくりを急ぐ必要がある」と指摘しました。

さらに、22日発表された政府の専門家会議の提言で、医療従事者などへの偏見や差別が広がっていると指摘されたことについては、「医療従事者は通常の業務に加え、差別、偏見というさらなるストレスがかかると離職者も増え、貴重な戦力を失いかねない。社会全体で彼らをねぎらう気持ちを持ち続けることが必要だ」と指摘します。

そして、緊急事態宣言の期限となっている来月6日以降の見通しについては、「今の時点では日々、感染者の状況も変化しているので、まだはっきりしたことは言えない。ただ、緊急事態宣言については来月6日で全体を解除するというのは現実的には難しいとみられる。社会への影響を考えて、感染者数が少ない地方など、可能なところから徐々に解除するなどの方法を検討する必要があるのではないか」と指摘しました。