厳しい外出制限から1か月 感染者と死者数 米で最多 NY州の今

厳しい外出制限から1か月 感染者と死者数 米で最多 NY州の今
新型コロナウイルスの感染者と死者の数がアメリカで最も多い東部ニューヨーク州は、厳しい外出制限を始めてから22日で1か月になります。人と人が一定の距離を取る「ソーシャル・ディスタンシング」が浸透したこともあって感染拡大のピークは過ぎたと見られていますが、かつてのにぎわいを取り戻すまでには、まだ長い時間がかかりそうです。
世界中から観光客が訪れていたニューヨーク・マンハッタン中心部の観光名所タイムズスクエアは、21日も歩く人の姿はほとんどなく交通量も減ったままです。

デパートは休業し、レストランは持ち帰りや配達をしている一部を除き営業していません。

目立つのは警察官や医療従事者、それに料理を自転車で配達する人たちの姿です。

その多くがヒスパニックや黒人で、ほぼ全員がマスクをしています。

アメリカ人にとってはマスクは縁遠いものでしたが、ニューヨーク州では今月17日から、人と人が一定の距離がとれない場所での着用が義務づけられました。

アメリカで最も感染者と死者が多いニューヨーク州は、21日発表された1日の死者の数が481人。

最も多かった時に比べ、およそ300人減りましたが、依然3分に1人が亡くなっている計算です。

それでも感染拡大のピークを過ぎたとされるのは、人と一定の距離を置き、会合や集まりを避ける「ソーシャル・ディスタンシング」の効果だとされています。

公園でさえも「この距離は離れてください」と書かれた横長の板が設置されています。

アメリカでは経済活動の再開をめぐる議論も広がりつつありますが、21日の会見でクオモ知事は、誰もが知るNBA、アメリカプロバスケットボールのスーパースター、マイケル・ジョーダンさんを引き合いに出し「彼は困難な状況で練習を積み重ねたからこそ偉大な選手になった。ニューヨーク州も同じだ。私たちは強い」と述べて、制限の継続の必要性を訴えました。

当初は今月29日までとしていた外出を制限する措置は、すでに来月15日までの継続が決まっています。

こうした状況のもと、職を失い失業保険を新たに申請した人はニューヨーク州だけで、この1か月で118万人に上りました。

世界中からの旅行者の入国を制限している中、ブロードウェイにある40を超える劇場は、すでに6月7日まで休演を決めています。

「ビッグアップル」とも呼ばれ、世界の人々を引き付けてきたニューヨークが、かつてのにぎわいを取り戻すまでには、まだ長い時間がかかりそうです。