米 ミズーリ州が中国を提訴 “隠蔽で新型コロナ感染拡大”

米 ミズーリ州が中国を提訴 “隠蔽で新型コロナ感染拡大”
アメリカ中西部ミズーリ州の政府は、中国政府による隠蔽などの不正行為が原因で新型コロナウイルスの感染が拡大し、数十億ドル以上の損害を被ったとして、中国政府に賠償を求める訴えを起こしました。
ミズーリ州の司法長官は21日、声明を発表し、新型コロナウイルスの感染を拡大させたとして、中国政府や中国共産党に対し、損害賠償を求める訴えを連邦地方裁判所に起こしたことを明らかにしました。

訴えによりますと、中国政府は新型コロナウイルスの感染の発生を告発した人物を拘束し情報統制を行って感染を隠蔽したほか、国際社会との協力を拒むなどの不正行為があったと主張しています。

そのうえで、ミズーリ州では20日までに少なくとも5800人が感染、177人が死亡、経済的な損害は数十億ドル以上に上るとして、中国政府などに賠償を求めています。

アメリカでは、南部のフロリダ州やテキサス州、西部ネバダ州などで個人や企業がすでに中国政府を相手取って集団訴訟を起こしていますが、州政府が訴えを起こしたのは初めてです。

一連の訴えをめぐっては、専門家の間で中国政府に賠償の支払いをさせるのは法的に容易ではないという見方も出ていますが、アメリカ議会では与党 共和党の議員が中国政府に賠償を求めるための法案を提出するなど、感染拡大の責任は中国にあるとして追及する動きが広がっています。

中国「事実や法律の根拠なく でたらめ」

中国外務省の耿爽報道官は「事実や法律の根拠が全くなく、でたらめだ」と強く反発しました。

耿報道官は、新型コロナウイルスの感染が国内で確認されて以来、中国政府は責任ある態度でWHO=世界保健機関やアメリカを含む国や地域に感染状況を報告してきたとしたうえで、「中国の当局が感染防止のために行ってきた主権行為はアメリカの裁判所の管轄外だ」という認識を示しました。

そのうえで「こうした訴訟はアメリカ国内の感染対策にとってプラスにならないだけでなく、国際的な協力に逆行している。アメリカ側はこうした訴訟を棄却するべきだ」と強調しました。