わが子が感染 その時どうなる? 新型コロナウイルス

わが子が感染 その時どうなる? 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスに感染した家庭は、どうなってしまうのか。ネット上では、親が感染した場合、そして子どもが感染した場合、子どもの世話をどうすればいいのかという不安の声が広がっています。特に子どもが感染した場合は、幼い子どもがひとりで隔離され入院する姿を想像して、不安に感じている親御さんも多いと思います。実際にその時がきたらどうなるのか、取材しました。(ネットワーク報道部記者 管野彰彦・鮎合真介)

ネットにあふれる不安の声

「もし子どもがコロナに感染して、2週間以上も隔離、面会なしの入院とか、想像を絶する辛さ」
「1人で隔離、誰にも抱っこされないなんてなったら泣きすぎておかしくなっちゃう」
「1歳と4歳の子どもがコロナに感染したら、子どもだけ隔離なんてできないから、感染覚悟で一緒にいたいと思うけど、それ以外方法はあるの?」
ツイッターには、幼い子どもが新型コロナウイルスに感染した場合、入院・隔離されることに不安を感じているという書き込みが数多く投稿されています。

なかには、障害のある子どもがいるという親からの、「意思疎通が難しいから、隔離されたらパニックを起こしてしまう」という切実な投稿もありました。

感染症になったら

幼い子どもにとって、親から離れての生活は一大事です。
そもそも一般的な感染症の場合はどうなるのでしょうか?
入院診療に特化した全国でも珍しい小児科がある、福岡大学西新病院の井上貴仁医師に話を聞きました。

この病院では、入院する子どものほとんどは、急性肺炎などの感染症を患った未就学児だということです。
井上医師
「幼い子どもはおむつを替えたり、ミルクをあげたりする必要があるなど、1人で入院させることは難しい」
このため、基本的に、両親や祖父母など、最低1人以上の保護者が付き添って対応しているといいます。

また、感染症の場合は、すべて個室で診療を行っていて、感染防止を図りながらも、家族で過ごせるように配慮しているそうです。

原則は“子どもでも1人で隔離”

では、問題の新型コロナウイルスに感染した場合は、どうなるのでしょうか?
厚生労働省に取材したところ「原則として、子どもであっても1人での入院・隔離が基本であることに変わりはありません」との回答。

通常の肺炎などと違い、指定感染症の新型コロナウイルスの場合、子どもだから特別に、という訳にはいかないようです。一方で次のようにも話しています。
厚労省担当者
「ただ、個別の事情で親が付き添わなければならないような時は、医療機関と保健所が協議するなどして対応していると思います。また、ガラス越しに面会ができるところもあるかもしれません」
はっきりと明言していないのは、医療機関での個別の状況までは把握していないからだそうです。付き添いの要望などに対して、どのように対応するのかは、医療機関側の判断で変わってくるそうです。

どういった場合に付き添いなどが許されるのかは「まさに個別の事情による」とのことで、はっきりしませんでした。

医療機関からの問い合わせもあるそうですが、基本は、感染拡大防止の観点から、1人での隔離が望ましいとしたうえで、医療機関側の態勢などに応じて判断してほしいと回答しているとのことでした。

“親子で一緒が望ましい”

一方、日本小児科学会は、ホームページに載せた新型コロナウイルスに関するQ&Aのなかで「軽症の場合は自宅あるいは宿泊施設等での療養が望ましく、入院した場合でも速やかな退院が望ましい」としています。

小児科医で長崎大学教授の森内浩幸医師も、親子を別々にするのは避けることが望ましいと指摘します。
森内医師
「これまでの症例を見ると、親から子どもに感染したケースが多く、子どもだけが陽性になって、隔離が必要になるというケースはほとんどないと思います」
つまり、子どもが陽性と判明するケースでは、親もすでに感染していることが多いので、軽症であれば自宅などで療養するか、入院が必要であれば親子が一緒でいいのではないか、ということでした。

その最大の理由は、子どもの負担の大きさです。
新型コロナウイルスでは、入院した場合、個室に閉じこもった状態が続くうえ、行き来する医療関係者は防護服姿、その見慣れない光景や重々しい雰囲気で、大きな精神的ストレスを抱えてしまうといいます。

さらに、親が受ける不安の大きさや、幼い子どものケアをする医療スタッフの負担の大きさをそれぞれ軽減させる必要があると指摘しています。

“ルール化はできない”

では、実際の医療現場で、すべてそのように対応できるのかというと、そう簡単ではないようです。

神奈川県にある感染症指定医療機関の医師は、匿名を条件に対応の難しさを話してくれました。

この医師が勤める病院では、子どもであっても「ひとりでの隔離・入院」が基本だそうです。最優先されるのは感染拡大の防止だからです。

一方で、なかには、「絶対に子どもと一緒でなければだめ」という親もいるそうです。そんな時には、必ずしもそれを拒みきれない部分もあるといいます。
医師
「親子を一緒にした場合、親が感染している可能性もありますが、感染していない場合は新たな感染者を出してしまったり、親が重症化したりする可能性も否定できません。そもそも病床に余裕があるかなど、その時によって状況も変わってきます」と話しています。
また、受け入れが必要な患者の人数や病院側の態勢によっても状況が変わるため、ルール化することが難しいというのが正直なところのようです。

さらに、病院によっても対応が異なり、すべての医療機関で一律の対応にすることもできないといいます。

そのため、基本は、子どもと離れざるをえないと考えておいてほしいとしています。
医師
「風疹など親に免疫があるような感染症に子どもがかかった場合は、親が付き添うことも可能です。ですが、新型コロナウイルスではそういう訳にはいかず、特有の難しさがあります。ですので、何より大事なのは自分が感染しない、そして子どもに感染させないことです。そのために手洗いなどの予防策を徹底することが重要です」

大切な人が感染したら…

親が感染したら、子どもが残される。逆に子どもが感染したら、親から引き離されるかもしれない。今回の取材で、そんな可能性があることがわかりました。

外出の自粛など、大人も子どもも我慢を強いられることが多くなっています。ほんとうにつらい日々です。

でも、「大切な人が感染したら…」と想像力を働かせて、もう少しだけ、頑張ってみる時なのかもしれません。