長崎港のクルーズ船 33人感染確認 クラスター発生 新型コロナ

長崎港のクルーズ船 33人感染確認 クラスター発生 新型コロナ
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長崎港で修繕を終え乗客を乗せずに停泊している大型クルーズ船の船内で、外国籍の乗組員1人の新型コロナウイルスへの感染が確認されたことを受けて、濃厚接触した可能性のある乗組員などを検査したところ、新たに33人の感染が確認されました。長崎県などは重症者は医療機関に受け入れるほか、さらなる感染拡大を防ぐための対策を急いでいます。
新たに感染が確認されたのは、長崎港にある三菱重工業長崎造船所の香焼工場に修繕を終えて停泊しているイタリア船籍の大型クルーズ船、「コスタ・アトランチカ」の乗組員33人です。

県によりますと、33人に重症者はなく、船内で隔離したうえで、健康状態などの確認を進めています。

「コスタ・アトランチカ」では、20日、外国籍の乗組員の1人の新型コロナウイルスへの感染が確認されたことから、濃厚接触の可能性がある乗組員や調理担当者など合わせて57人を検査し、33人の感染が確認されました。

また、この船には日本人の通訳1人を含む623人の乗組員がいますが、乗客はいません。

長崎県の中村知事は今後、ほかの乗船者のPCR検査を進めるほか、軽症の場合は船内で健康観察を続け、重症者は県内の医療機関に受け入れる方針を示しました。

陰性の場合はできるだけ帰国してもらう方針です。

長崎県と市は、船内でクラスターが発生したとして、さらなる感染拡大を防ぐための対策を急いでいます。

一方、三菱造船の担当者は、当初、県の要請を受けて先月14日以降、乗組員の乗船や下船はないとしていましたが、14日以降も乗組員が市内の病院で受診するなど乗り降りがあったことを明らかにしました。

官房長官「イタリア政府からの要請で専門家派遣」

菅官房長官は午前の記者会見で、長崎港で停泊している大型のクルーズ船で外国籍の乗組員1人の感染が確認されたことに関連して、乗客はおらず、乗員のみおよそ600人が乗船しているとしたうえで、20日に4人のウイルス検査を行って1人が陽性となり、21日には57人の検査を行い、33人が陽性だったと報告を受けたことを明らかにしました。

そのうえで、菅官房長官は「政府としては、クルーズ船の旗国であるイタリア政府からの協力要請を受けて、厚生労働省の職員や、クラスター対策の専門家をすでに派遣している。引き続き、長崎県などと連携して感染拡大防止に適切に対応したい」と述べました。

1月に入港 2月にドックで修繕

「コスタ・アトランチカ」が長崎港に入港したのは、およそ3か月前のことし1月29日でした。

物資の補給を行うとともに、2月上旬からは三菱重工長崎造船所香焼工場の岸壁に停泊し、2月20日からドックに入り、先月25日まで船の修繕を行いました。

この間、乗組員たちは市内に出かけることもありましたが、体温測定をしたうえで、チャーターしたバスに乗って移動していました。

クルーズ船は今月末までの予定で停泊を続けていましたが、今月14日に乗組員が発熱しました。

一方、これまでに船に入った三菱重工のグループ会社の十数人に体調の異常がみられる人はいないということです。

乗組員の感染源について長崎市保健所の本村克明所長は「調査を進めないと仮説を立てるのは難しい。今後の情報で検討していく」と話しています。