「借金返せない」コロナで相談相次ぐ 多重債務者急増の懸念も

「借金返せない」コロナで相談相次ぐ 多重債務者急増の懸念も
新型コロナウイルスの影響で収入が大幅に減った人からは「借金やローンが返せない」という相談が相次いでいます。専門家は今後、多重債務者が急増するおそれがあると懸念しています。
東京都の社会福祉協議会などは、専用の窓口で借金がある人の相談にのったり、融資の紹介を行ったりしています。

新型コロナウイルスの影響でことし2月から相談に訪れる人が増え、3月の相談件数は123件と、2008年に窓口ができてから1か月間の件数としては最も多くなりました。

訪れるのは派遣社員のほか、タクシーの運転手やイベント会社の社員、それに飲食店の従業員が多いということで、「雇い止めになり収入がゼロになった。月々返していた借金が返済できなくなる」などといった相談が相次いでいるということです。

これまでは給料の中から毎月の返済をしていたものの、収入がなくなって急に支払いができなくなる人が多く、複数の消費者金融などから借りている人もいます。

相談にあたっている清原公美子さんは「これだけ多くの方が相談に訪れるのは初めてで、今後、多重債務者がさらに増えるおそれがある。生活に全く余裕がなくなっていて、命に関わるような相談を受けることもあり、リーマン・ショックや東日本大震災の時よりも状況は厳しいと思う」と話していました。

問い合わせは、東京都生活再生相談窓口 03-5227-7266で平日の午前9時30分から午後6時まで受け付けています。

突然解雇の男性「このままでは生活すら」

新型コロナウイルスの影響で勤務先の飲食店を解雇された37歳の男性に話を聞きました。

男性はかつて失業中だったことがあり、当時の生活費として借りたおよそ200万円の借金を抱えています。ただ、先月まで正社員として勤めていた飲食店での待遇はよく、月々10万円ほどを返済にあてても生活はできていたといいます。

しかし、新型コロナウイルスの影響が勤務先を直撃し状況が一変しました。

勤務していた飲食店の3月の売り上げは通常の9割も減り、今月になって突然解雇の通告を受けたということです。

男性は妻や子ども、それに両親と同居していますが、次の仕事は決まっていません。

連日ハローワークに通っていますが「新型コロナウイルスの影響で当面は採用を見合わせる」といった企業が多く、面接にも行けない日が続いています。貯金もほとんどないため、今ある借金を自力で返済できる見通しは立っていないといいます。

男性は「毎日何かにのしかかられているような重圧がある。公的な機関に緊急の貸し付けなども申し込んでいるが給付までに時間がかかり、このままでは生活すらしていけない」と話していました。