6つの都府県で病床数ひっ迫 NHK調査 新型コロナウイルス

6つの都府県で病床数ひっ迫 NHK調査 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスに対応する医療体制について、NHKが全国の都道府県に聞いたところ、入院患者の数が準備している病床数の8割を超えているところは、先週からは3府県減って6つの都府県となりました。軽症の患者に宿泊施設や自宅で療養してもらう対応や、病床を増やす対応を各地で行ったことによるものですが、入院患者数は3割以上増えており、専門家は決して楽観できないと指摘しています。
NHKでは全国の放送局を通じて、20日時点の新型コロナウイルスに対応する病床や入院患者の数などについて、都道府県に取材しました。

それによりますと、新型コロナウイルスの患者が入院するために確保している病床の数は全国で合わせて1万1000床余りで、先週行った調査と比べて、およそ1500床増えました。

また現在の入院患者は少なくとも6600人余りにのぼり、先週と比べて1600人余り、3割ほど増えています。

都道府県別に、確保できている病床数に対して入院患者の数が8割を超えているのは6つの都府県で、このうちの東京都と石川県、大阪府、兵庫県は、政府が特に重点的に感染拡大防止の取り組みを進める必要があるとしている「特定警戒都道府県」ですが、このほかの地域では滋賀県と沖縄県が含まれています。

一方で、前回、先週行った調査で8割を超えていた、京都府や高知県、福岡県は軽症の患者に宿泊施設や自宅などで療養してもらう対応をとったほか、山梨県は追加の病床を確保したことで病床がひっ迫している割合が下がりました。

そして宿泊施設や自宅で療養や待機をしている人は、病床が確保できていない人たちも含めて、17都道府県で1700人を超え、ほぼ倍増しています。

このうち埼玉県、千葉県、神奈川県の東京近郊では、それぞれ300人を超え、東京都や福岡県でも、それぞれ100人を超えています。

さらに医療体制について懸念していることを聞いたところ、感染が都市部だけでなく地方にも広がってきていることを受けて、もともと医師不足の地域での医療提供や検査を行う体制に不安があるといった声や、新型コロナウイルスの診療と通常の医療の両立が課題だといった声が出てきています。

また自宅などで療養する患者が重症化した場合の対応や、引き続き医療用のマスクやガウンなどが不足する中、医療従事者の感染防止について多くのところが課題に挙げています。

専門家「楽観はできない」

これについて、感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「医療崩壊を防ぐには患者の症状に応じたベッドの確保が必要だ。中等症や重症になる患者に入院してもらって、軽症の人は自宅やホテルで療養してもらう体制が整いつつあるのではないか」と評価しています。

ただ、こうした対応に伴う注意点として賀来特任教授は「自宅などで療養する患者が重症化することがあるため、重症化する兆候を見逃さずに対応することが各自治体に求められる」と指摘しています。

一方で、今後の見通しについて「重症化した患者に対応するベッドに空きができても、院内感染が起きると、その医療機関のベッドが利用できなくなる。患者は増えていて、医療現場は引き続き難しい対応を迫られており、楽観はできない」と話しています。