都内の公園 緊急事態宣言後 人出増加の所も ビッグデータ分析

都内の公園 緊急事態宣言後 人出増加の所も ビッグデータ分析
不要不急の外出の自粛が呼びかけられる中、東京都内の公園では、今月7日に緊急事態宣言が出されたあとも人出が増加している場所があることがビッグデータの分析で分かりました。
インターネットのSNSで人が集まっていると投稿されている公園や観光地で、NHKは、IT関連企業の「Agoop」が携帯電話の利用者の許可を得て集めた位置情報のデータをもとに今月14日までの2か月の人出を個人が特定されない形で推計し、分析しました。

その結果、首都圏の公園や観光地の中には、今月7日に緊急事態宣言が出されたあとも一時的に人出が増加しているところがあることが分かりました。

東京 世田谷区の駒沢オリンピック公園では、週末の土日は人が減少する傾向にある一方、平日の人出は2月以降もほぼ横ばいで、緊急事態宣言が出された今月7日の翌日からは逆に増えています。

特に今月14日の人の数は、平日としてはこの2か月で最も多く、平日の平均の2倍近くになっていました。
世田谷区の砧公園も、花見などで人が一気に増えた先月20日から22日の3連休やその前後を除くと、平日や休日ともにこの2か月で人出の大きな減少は見られません。ここでも、今月14日は人が大きく増えていました。
神奈川県藤沢市の江の島は今月11日、混雑の様子がSNSで話題になりました。

データで分析すると、平日も週末もおおむね人出は減少していますが、今月11日の土曜日には人が一気に増え、先月28日の土曜日に比べ2倍以上となっていました。
一方、都内の繁華街を分析すると緊急事態宣言の前後で人出の減少が顕著になっていて、例えば、渋谷のスクランブル交差点付近は3月下旬以降、平日も週末も人が減り続ける傾向が見えます。

公園などで繁華街に比べて人出が増えているのは、東京都や専門家がランニングなど個人的な運動で公園を利用することを制限するものではないという見解を示していることなどが要因にあると見られます。

子ども連れやランナーの声は

東京都内の公園を訪れていた保護者やランナーからは、感染対策を意識しているといった声や不安を感じながら利用しているといった声が聞かれました。

6歳と1歳の子どもを連れて公園を訪れた東京 三鷹市に住む母親は、「在宅勤務をする夫が家にいるので、少しでも集中できる時間をつくってあげたくて、公園がいちばんすいている朝の時間に連れてきました。混み合った時間は避けています」と話しました。

また、7歳と3歳の子どもを連れた母親は、「子どもたちが運動不足になるし、家にいると騒いでしまいマンションの下の階から『うるさい』と言われてしまったので、発散させる時間をつくるため公園に来ています」と話したうえで、「知っている子どもに会うとどうしても一緒にいる時間が多くなってしまうので、不安はあります」と話していました。

東京 世田谷区の公園でジョギングをしていた20代の女性は、「家の中だとスペースもないし運動できることも限られてしまうので、外の空気を吸いながらジョギングをしています。ただ、走る人の数がどんどん多くなってきたので、前を走っている人を追い抜くときなどにせきをされたりすると、少し不安になります」と話していました。

また50代の男性は「運動不足の解消でジョギングをしています。他の人との距離はできるだけあけるよう気をつけて走っています」と話していました。

公園巡回し感染予防呼びかけも

三鷹市では公園の利用者に新型コロナウイルスの感染予防を呼びかけるため、市の職員が公園をパトロールする取り組みを行っています。

三鷹市では、学校が休校している影響で、平日にも市内の公園を利用する親子連れや子どもたちの姿が見られます。

このため、市の職員が公園を定期的にパトロールし、感染予防を呼びかける取り組みを先月11日から始めました。

職員は、公園の中で利用者が集まっている場面では近づいて集まらないよう声をかけたり、遊具で遊ぶ子どもたちにマスクの着用や手洗いすることなどを呼びかけたりしました。

三鷹市では、このほか公園の入り口に注意を促す案内板を設置したほか、遊具などに触れたあとの手洗いのため、園内の水場にせっけんを備え付けました。

三鷹市によりますと一部の住民からは子どもたちが密集した状況となることなどを恐れて、公園の閉鎖を求める声も寄せられているということですが、利用の継続を求める声も根強いことから閉鎖は避けて、感染予防の対策を促していきたいとしています。

専門家「公園でも密集の回避を」

感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は小さな子どもや、その保護者が公園を利用するうえでの注意点について「多くの子どもたちがあまりにも密集して遊んでいるとよくないし、遊具を触った手で子どもがそのまま口を触ることもリスクがある。親が注意して子どもを見ている必要があるし、親どうしも複数で集まって密集した状態をつくらないように工夫をしてほしい」と述べました。

また、ジョギングについて「屋外とはいえ密集した状態をつくってしまうと、感染のリスクがないわけではない。できるだけ1人で走るほうがよいが、複数でジョギングをする場合には、運動の前後に密集した状態をつくらないことや、走りながら大きな声でしゃべったりしないことが重要だ」と注意を促しました。

また「走っているときは鼻ではなくどうしても口の呼吸になるので、飛まつが飛ばないわけではない。隣で走る人や前後を走っている人とはできるだけ距離をあけたほいがいいと思うし他の人とは違うコースを走るなどの工夫も大切だ」と話していました。

ジョギングの注意点は

みずからもジョギングを楽しむ医師で、日本医師ジョガーズ連盟の理事も務める東京理科大学の鈴木立紀准教授は、注意点として走る前後に仲間たちと近づいて集まるのをやめることや走っている際も他の人と距離をとることなどを意識してほしいと話しています。

鈴木准教授は屋外でのジョギングについて、多くの人たちが走ると密集した状況を作ってしまう可能性があるとして、注意点をあげています。

具体的にはジョギングの前後の準備運動や着替えの際に仲間で集まらず、他の人との接触を避けることや、走るときにもできるだけ一定の距離をとること、何人かで固まって走るのではなく、2人程度で走ることが密集した状態を避けるため重要だとしています。

海外では、前後に並んで走る場合には10メートル程度離れたほうがいいというシミュレーションもあるということですが、飛まつがどの程度飛ぶかの流体力学的なシミュレーションで、感染リスクにつながるかどうかの研究ではないということです。

また、マスクを着けて走ることも効果的とする一方、息苦しいジョギングとなるため、マスクをしても苦しくない程度のスピードで走ってほしいとしています。

さらに、走っている最中は、無意識のうちに手で顔を拭う行為などをしがちでウイルスのついた手が口に触れるおそれがあるとしてマスクをすることや走る前に手を洗うことが感染のリスクを減らすとしています。

鈴木准教授は、「人それぞれのペースで体を動かせるジョギングは、運動不足に適しているので、注意点を意識しながらジョギングをしてもらえれば」と話しています。