北アルプスの山小屋 春の登山シーズンも営業中止 新型コロナ

北アルプスの山小屋 春の登山シーズンも営業中止 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大は、春の登山シーズンを迎えた北アルプスの山小屋の営業にも影響を及ぼしています。
北アルプスの玄関口、長野県松本市の上高地では、17日から、そこにつながる県道も通れるようになりました。

例年であれば、大型連休にかけて、多くの登山客が訪れ、山小屋に宿泊しますが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大により、そうはいかないようです。

山小屋は、多くの登山客が、限られたスペースで宿泊するためいわゆる3密になりやすくなります。

「北アルプス山小屋友交会」によりますと、会に所属する山小屋のうち大型連休中に営業を予定していた13の小屋すべてで大型連休明けの来月6日まで、宿泊客の受け入れの中止を決めたということです。

さらに、テント泊や売店などの営業についても、合わせて見合わせるということです。

山の医療に詳しい日本登山医学会の上家和子医師は「新型コロナウイルスは、感染しても症状が現れない人が一定数いると報告されていて、さまざまな地域から症状のない登山客が山小屋に集まってしまうと、感染が拡大するリスクが高い。遭難者の救助についても感染リスクを考えると困難が予想されるので、この時期の登山はおすすめできません」と話しています。

玄関口で開通式行われるも街は一変

北アルプスの玄関口、松本市の上高地に通じる「釜トンネル」の入り口では、17日地元の観光関係者らが集まり、開通式が行われました。

例年ならば、にぎやかな春の登山シーズンの幕開けとなるところですが、上高地の上條敏昭町会長は「このような状況でお客さんに来てくださいとは言いにくいです。感染拡大が早く収まり、以前のように安全に迎えられるようになってほしいです」と話していました。

バスターミナルも観光客の姿はまばらで、付近にあるホテルや商店も、感染拡大を受けて17日、臨時休業を決めたということです。

訪れた30歳の観光客は「天気がよかったので来ましたが、『緊急事態宣言』も出されたので、これからは外出を控えます。山小屋もやめているところがありますが、『3密』になる場所なのでしかたがないと思います」と話していました。

山小屋経営者「夏山シーズンまでに収まって」

山小屋の経営者も難しい対応を迫られています。

松本市の穂苅大輔さんは、北アルプスの山小屋をこの時期3軒営業していますが、いずれも来月6日まで見合わせました。

穂苅さんが経営する槍ヶ岳の山頂付近にある「槍ヶ岳山荘」には多い時は500人以上が寝泊まりするため、いわゆる「3密」となるおそれがあると感じています。

また、春山シーズンは、雪を溶かして水を作るため、確保できる水の量にかぎりがあり、手洗いを徹底できないということです。

穂苅さんは、来月7日以降に、営業再開した場合、従業員の不安を和らげるため、防護服の代わりとして、レインウェアやゴーグルなども用意することにしています。

穂苅さんは「山小屋は感染リスクが高まってしまう場所なので、この時期の営業休止はしかたないと思います。多くの登山客が訪れる夏山シーズンまでに感染拡大が収まってほしいです」と話していました。