GDP初のマイナス 中国当局「今後は回復」 情勢は不透明

GDP初のマイナス 中国当局「今後は回復」 情勢は不透明
中国のことし1月から先月までのGDP=国内総生産は、去年の同じ時期に比べてマイナス6.8%と、四半期ごとのデータが公表されている1992年以降、初めてマイナスになりました。国家統計局は、今後、回復に転じるとしていますが、海外の需要の落ち込みによる輸出の減少などで、思惑どおりに景気が上向くか不透明な情勢です。
中国の国家統計局が17日に発表した、ことし1月から先月までの第1四半期のGDPは、去年の同じ時期に比べてマイナス6.8%となりました。

これは、四半期ごとのデータが公表されている1992年以降、初めてのマイナスです。

中国では新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため、ことし1月下旬以降、湖北省の武漢を事実上封鎖したほか、全土で企業活動の停止や厳しい交通の制限などを実施したことで幅広い分野に影響が及びました。

これについて、国家統計局の毛盛勇報道官は「3月の経済状況は前の月よりも明らかに改善しており、その傾向は今後も続いていく」と述べ、中国経済は第1四半期を底に、今後回復に転じるという強気の姿勢を示しました。

ただ、世界各地で感染の拡大が続く中、海外の需要の落ち込みによる輸出の減少などで、思惑どおりに景気が上向くか不透明な情勢となっています。

専門家「V字回復 期待できず」

17日に発表された中国のGDP=国内総生産について、中国経済に詳しい日本総研の関辰一主任研究員は「新型コロナウイルスがリーマンショックを超えるダメージを中国経済に与えたと言える。中国では全国規模で工場の生産や店舗の営業などが抑制され、最悪期には北京や上海などでも人の往来が70%も減少した。また、大企業から中小企業まであらゆる会社が政府の感染対策で大きなダメージを受けた」と述べ、中国経済がこれまでにない打撃を受けたという認識を示しました。

中国政府が目指す今後の景気回復については、「V字回復は期待できない。すでに閉鎖した店舗や工場では投資の先送りやリストラも起きており、失業者が増える中で消費を抑えようという動きが全国的に広がっている。また、世界的に感染が拡大する中で輸出がリーマンショック以上に下ぶれるリスクも出ている」と述べ、景気回復には、まだ一定の時間が必要だという見通しを示しました。

そのうえで、関主任研究員は日本を含む世界経済に与える影響について、「世界経済に占める中国の割合は10年前に比べて10ポイント程度上昇しており、中国経済の立ち直りが遅いことは、世界経済の回復の遅れにもつながる」と述べ、世界全体の景気回復が遅れる可能性を指摘しました。