緊急事態宣言 7都府県の学習塾85%が休校 新型コロナ

緊急事態宣言 7都府県の学習塾85%が休校 新型コロナ
新型コロナウイルスの影響で学校の休校が続く中、今月7日に政府の緊急事態宣言の対象となった7つの都府県では、教室の数が10か所以上の学習塾の85%が休校したほか、3分の2近い塾がオンラインでの授業に切り替えて対応していることがわかりました。
全国の学習塾が加盟している全国学習塾協会によりますと、今月7日に政府の緊急事態宣言が出された7つの都府県で、教室の数が10か所以上の学習塾48社を対象に調査したところ13日時点で41社、率にして85%の塾が休校しているということです。

また31社、65%の塾は動画の配信やテレビ会議のシステムなどオンラインでの授業に切り替えて対応していることがわかりました。

全国学習塾協会は「いつまで休校するのか先が見えない中、オンラインでの授業は生徒とつながる最も有効な手段だ。多くの塾が検討していて、さらに進んでいくだろう。一方で、生徒たちが学習内容をきちんと理解できているか、しっかりとコミュニケーションを図っていく必要がある」と話しています。

オンライン授業 環境整備求める声も

子どもの貧困問題に取り組んでいるNPO法人が、高校生を対象に学校の休校の影響について聞いたアンケートでは、自宅での学習環境が十分でなく、オンラインでの授業が受けられるための環境整備を求める声などが寄せられました。

子どもの貧困問題に取り組むNPO法人「キッズドア」は、先月29日から今月5日にかけて高校生74人に学校の休校の影響についてアンケート調査を行いました。

学習面で困っていることについて複数回答で質問したところ、
「家で勉強する気が起きない」が68%、
「学校がないと勉強するのが難しい」が28%、
「自宅が狭いなど家で勉強することが難しい」が12%など、
自宅での学習が難しく、また環境も十分でない現状が分かりました。

アンケートでは、オンラインでの授業を受けられるよう環境整備を求める声や、学力の差が広がることに不安があり、受験が不利になるといった声なども寄せられました。

調査を行ったNPO法人では「貧困家庭では多くが塾に通っていないほか、親が仕事で忙しいなどで子どもに対して勉強を促したり見てあげたりすることができず、自宅での学習が難しい。休校の期間が長引けば長引くほど、学力の格差が広がってしまう」と話しています。

塾に通えない生徒 受験への不安募らせる

経済的な理由などで学習塾に通えない生徒は、塾が行うオンラインの授業も受けられず、家庭での学習に限界があると感じていて受験への不安を募らせています。

東京 八王子市に母親と障害のある妹と住む中学3年生の女子生徒は、パートの仕事をしている母親の収入が不安定なことなど、経済的な理由などから学習塾に通っていません。将来は保育士になることが目標で、来年、高校受験を予定しています。

中学校が休校になってからは、学校から配られた各教科の問題が書かれたプリントや教材を使って、毎日1時間から2時間ほど自宅で勉強しています。

内容はこれまでの復習ですが、わからないことがあったときに、質問できる人がいないことから、不安があるといいます。

女子生徒は「わからない部分はとりあえずそのままにしています。学校の先生に聞くしかなく、勉強が不安だから早く学校が再開してほしい」と話していました。

また、女子生徒の母親は、娘の友人が塾で3年生の授業を始めていると聞き、受験に差が出てしまうのではと懸念しています。

母親は「娘の姿を見ていると、勉強しているなと思うけれど、テストの結果を見ると分かっていないのかなというところもあります。私が勉強をみてあげられればいいのですが、できないので、学校の先生を頼るしかなく、不安です」と話していました。

無料の塾を開く男性 「あせらず復習を」

東京 八王子市で、経済的に苦しい家庭向けに無料の塾を開いている小宮位之さんは、勉強する環境や習慣がない家庭も多いと指摘していて「家が狭く、小さな兄弟がいたり親が仕事に行っていたりすると自宅で勉強することは難しい。インターネット環境がなく、オンラインでの授業が受けられない家庭もある」と、休校が続くことで学力に格差が出てしまうことを懸念しています。

そのうえで、塾に通っていない家庭でできることとして「学校から出ている宿題は復習が多いが、例えば高校受験の6割から7割は中学2年までの内容。あせらずに、しっかり復習しておくことで勉強の習慣もつくし、受験対策にもなり、学校が再開したときにも学習についていける」とアドバイスしています。