訪問介護現場から対策と支援を求める声 新型コロナウイルス

訪問介護現場から対策と支援を求める声 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの感染拡大を受けてデイサービスなど通所型の介護事業所の自主休業の動きが広がる中、代わりのサービスとして訪問介護の役割が増しています。しかし、訪問介護の現場からは、十分な情報がないままサービス提供の継続を求められているなどとして対策と支援を求める声が上がっています。
先に緊急事態宣言が出されていた7都府県などでは、感染拡大防止などのためデイサービスなどの通所型の施設を中心に自主休業の動きが広がっています。

サービスを利用できなくなった高齢者のケアを継続するため訪問介護の重要性が増す中、先週、東京と埼玉の訪問介護事業所の代表者とヘルパーらが国に要望書を提出しました。

この中で、訪問介護事業者らは「ホームヘルパーの訪問は最後のとりでなのに、十分な情報がないままサービス提供の継続を求められており、行政のバックアップがあまりにも貧弱だ」などとして、1人で利用者の家に訪問するヘルパーのためのマニュアルを作成し、マスクや防護服などを優先的に支給するなどの感染予防対策を求めています。

また、感染者や濃厚接触者の訪問介護を行った際の介護報酬や特別手当などの仕組みをつくるとともに、高齢化や人材不足に悩むヘルパーの増員策を早急に打ち出すことも求めています。

要望書を提出したNPO法人暮らしネット・えんの小島美里代表は「ヘルパーが行かなければ生活自体が成り立たず命さえ危険に陥る方もいる。医療だけでなく介護も崩壊の危機にひんしているので、少しでも現状に気付いて対策を前進させてほしい」と話しています。

「ヘルパーは精神的に疲弊 ぎりぎりの状態」

国に要望書を提出した訪問介護事業所の1つ、東京 新宿区の「東京山の手まごころサービス」では、マスクや消毒用アルコールなどの衛生用品を新たに仕入れることができない状態が続いているため、備蓄を取り崩してなんとかしのいでいます。

本来、ヘルパーは、利用者の家を1軒訪問するたびにマスクを交換することが望ましいとされていますが、このままだとあと1か月ほどで在庫が底を突いてしまうため使用を制限せざるをえない状態だということで、事務所の机の上に置かれたマスクの袋には「マスクは1日1枚でお願いします。まとめ取りご遠慮ください」と書かれた付せんが貼られていました。

ヘルパーたちは毎朝必ず事務所で体温を確認し、利用者の家に行く前後に手洗いやうがいを行っているほか、事務所のドアノブや電話の受話器など複数の人が触るものについては1時間に一度消毒するなどして感染防止に気を配っています。

しかし、利用者のマスクが用意できないケースがあり、ヘルパーがつけるゴム製の手袋も不足している現状では限界があります。

この事業所の代表の女性は、「利用者とヘルパー双方を守るためにも、今のままでは感染予防が不十分だが、防護服もなく衛生用品も足りない。ヘルパーは精神的に疲弊し、ぎりぎりの状態です」と話していました。