緊急事態宣言 諮問委員会「全国拡大は妥当」 正式決定へ

緊急事態宣言 諮問委員会「全国拡大は妥当」 正式決定へ
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、西村経済再生担当大臣は、衆議院議院運営委員会で、対象地域を全国に拡大するとした方針に、専門家でつくる「諮問委員会」から妥当だとする見解が示されたとして、このあとの対策本部で正式に決定する考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を全国に拡大するのを前に、西村経済再生担当大臣は事前の報告と質疑のため、衆議院議院運営委員会に出席しました。

この中で、西村経済再生担当大臣は「政府の『諮問委員会』を開催し『緊急事態宣言』の区域変更の公示案について、ご了解をいただいた。今夜、政府対策本部を開き、『緊急事態宣言』の区域を変更したいと考えている」と述べました。

そのうえで西村大臣は「今回の変更は、来月6日までの間に、緊急事態措置を実施すべき区域を全都道府県に変更するものだ。政府としては、引き続き、国民に社会機能の維持のための事業継続をお願いしつつ、外出自粛などに全面的にご協力いただきたい。国民の命と健康を守ることを第1に、都道府県とも緊密に連携し、感染拡大防止に向けた取り組みを徹底したい」と述べました。

先週、7つの都府県を対象に初めて「緊急事態宣言」を出した際は、安倍総理大臣が、衆参両院の議院運営委員会で報告と質疑にあたりましたが、今回は、対象地域を変更する手続きだとして、西村大臣が対応しました。

衆議院 議院運営委員会での質疑

立憲民主党の逢坂政務調査会長は「緊急事態宣言を全国に広げた根拠は何で、以前と何が変わったのか」とただしました。

これに対し西村経済再生担当大臣は、「都市部、特に7都府県からの人の移動によって全国に感染を拡大する状況が見られる。大型連休を前に、もう1度、皆さん方にお願いをして外出の自粛をし、特に県をまたがる移動をつつしんでいただくようお願いしたい。医療体制がまだ十分でない都道府県をしっかり応援していくという意味もある」と述べました。

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、現金給付をめぐり、「直接給付の金額と配分の考え方が大きく変更されるようだが、今回の直接給付は、迅速に行うことが最重要だったはずだ」と指摘しました。

これに対し西村経済再生担当大臣は、「10万円の給付は、政府・与党間で調整を行っている。いずれにしても、厳しい思いをしている方に、迅速な方法で給付できるよう、知恵を出したい。残念ながら、まだ補正予算案が成立していないが、万全を期して対応していきたい」と述べました。

共産党の塩川鉄也氏は、休業要請をめぐり、「自粛要請を全国に広げるのであれば、営業自粛への補償が必要ではないか」と質問しました。

これに対し西村経済再生担当大臣は、「さまざまな事業者の皆様方が大変厳しい状況になっているが、何とかふんばって、事業の継続、雇用、生活を守れるように、全力を挙げて支援をしていきたい。補正予算案を提出し、給付金でしっかりと支え、都道府県には、地方創生の臨時交付金を活用いただきたい」と述べました。

参議院 議院運営委員会での質疑

自民党の馬場成志氏は、「全国に対象を広げ、これ以上ない構えだと思うが、最初の宣言からだいぶん時間がたっており、スピードを上げなければ国民の不安は大きくなるばかりだ」と指摘しました。

これに対し西村経済再生担当大臣は、「人と人との接触を8割削減することをお願いしているが、国民の皆さまにご協力いただき、かなり減少してきているが、まだ不十分だ。大型連休前に県を超えた移動をやはり自粛していただく必要がある。こうしたことを、専門家の皆さんからのご意見もいただきながら、総合的に判断した」と述べました。

国民民主党の川合孝典氏は、医療体制をめぐり、「医療機関で人材が非常に不足している状況を受けて、どういう形で人材確保の対応をしているのか」と質問しました。

これに対し西村経済再生担当大臣は、「すでに厚生労働省や看護協会とも連携して、5万人を超える潜在看護職員に対して復職を呼びかけ、調整を行っている。医師が感染した場合の代替医師の確保やDMATの派遣、地域の診療所などに勤務する医療従事者の派遣など、しっかりと対応を行っていきたい」と述べました。

公明党の平木大作氏は、「『緊急事態宣言』の対象地域を全国に拡大することで、生活が厳しくなった、資金繰りが苦しくなったという国民の不安の声はまた一気に増してくる。政府には、迅速な対応を求めたい」と求めました。

これに対し西村大臣は、「何としても、事業、雇用、生活を守っていくという決意だ。特に事業でいえば、宿泊、観光、飲食、文化芸術を支えている方々、エンターテインメントの方々は大変な影響を受けているので、補正予算案を1日も早く提出をさせていただき、しっかりと守り抜いていきたい」と述べました。