600人解雇方針のタクシー会社 運転手が無効求め仮処分申し立て

600人解雇方針のタクシー会社 運転手が無効求め仮処分申し立て
k10012391331_202004161844_202004161918.mp4
およそ600人の運転手などを解雇する方針を示した都内のタクシー会社で勤務していた70代の男性が、解雇の無効などを求め東京地方裁判所に仮処分を申し立てました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響による解雇をめぐって司法の場で争われることが明らかになったのは今回が初めてです。
申し立てを行ったのは、都内のタクシー会社、ロイヤルリムジンのグループ会社でタクシーの運転手として勤務していた70代の男性です。

代理人弁護士によりますと、男性は今月10日、会社から「感染リスクを抱えながら安い給料で働くよりも、雇用保険の失業給付を受けたほうがよい」などと言われ、給付に必要な手続きだとして退職合意書に署名させられたということです。

男性は、十分な説明や解雇を回避するための努力もないまま、一方的に解雇されたのは無効だとして、会社側に雇用の継続や賃金の支払いを求めています。

男性は「今まで普通にこの仕事で生活をしてきたのに、それが突然断たれてしまい、これからどうやって生活をしていけばいいのか。怒りでいっぱいです」と話しています。

また代理人の馬奈木厳太郎弁護士は「解雇は、あらゆる努力を払ってそれでもどうしようもない時の最後の手段でなければならないし、当事者の納得を含めて手続きがきちんとなされる必要がある。こうしたやり方がまかり通ってしまえば、極めて悪い先例になってしまう」と話していました。

日本労働弁護団によりますと、感染拡大の影響による解雇をめぐって司法の場で争われることが明らかになったのは、今回が初めてだということです。

ロイヤルリムジングループは先週、感染拡大に伴う業績の悪化を理由にグループ会社6社の従業員およそ600人を一斉に解雇する方針を明らかにしていて、ほかにも雇用の継続を求める数十人の従業員のグループが集団で仮処分を申し立てることを検討しています。