「あしなが育英会」 奨学金利用する学生に15万円の支援金

「あしなが育英会」 奨学金利用する学生に15万円の支援金
k10012391031_202004161813_202004161830.mp4
親を亡くした子どもたちに奨学金を交付している「あしなが育英会」は、新型コロナウイルスの影響で生活に困窮している家庭が相次いでいるとして、奨学金を利用する全国の学生およそ6500人に対し、1人当たり15万円の支援金をおくることを決めました。
「あしなが育英会」は、16日都内で記者会見を開き、はじめに、親を亡くし、来年受験などを控えた高校3年生の子どもがいる全国500世帯余りを対象に、新型コロナウイルスによる生活への影響を尋ねたアンケートの結果を公表しました。

それによりますと、非正規雇用やパートで働く母子家庭を中心に「仕事ができず水道代や電気代が払えない」「契約社員なので会社を休むと無給になる」といった生活への不安を訴える声が281件寄せられたということです。

団体は、親を亡くした子どもがいる家庭の当面の生活を支える必要があるとして、今年度、奨学金を利用する全国の学生およそ6500人に対し、1人当たり15万円を緊急に交付することを決めました。

支援の総額は、およそ10億円と見込んでいて、これまでに積み立てた奨学金の運用資金を取り崩して、充てるとしています。
「あしなが育英会」の岡崎祐吉事務局長は「遺児家庭がさらに貧しくなっているのが現状で、そうした子どもたちが学業を続けられるように、引き続き、団体への募金や寄付もお願いしたい」と話しました。

アンケート調査の回答

「あしなが育英会」が行ったアンケート調査では、生活費の支払いや進学に関して切実に悩んでいるという回答が多く寄せられました。

このうち、福島県の保護者は「仕事ができず収入が減ってお金がない。電気代、水道・ガス代がかかるからもう家族全員で路上生活するしかありません。わたしは血圧が高く、救急車のお世話になり、糖尿病もあります。どうすればいいのかわからないので神さま子どもたちを守ってくださいと祈っています」などとつづっています。

また、神奈川県の保護者は「時給の契約社員なので、会社を休むと無給になってしまいます。大学受験を控える息子と就活の大学生がおりますので、行動することもできず大変不安です。家計を助けてくれている子どもたちもバイトができません」などと、家計への深刻な影響をつづっています。

また、千葉県の保護者は「食品、品薄の紙類やマスク、ナフキンなど、高価なものしか店になく、買うたびにいつもよりお金が出ていきます。もしこのうえ私に何かあれば、娘はひとりでやっていけるのかと何度も涙が出て疲れました。大学に行きたいのに学校、受験の見通しがたたず、このままどうなるか不安です」などと、先行きが見えないことへの不安を訴えていました。