「接触8割減」テレワークが鍵に 専門家アンケート調査

「接触8割減」テレワークが鍵に 専門家アンケート調査
政府が呼びかける人と人との接触機会の8割削減には、テレワークが鍵になるという調査結果です。専門家が通勤を伴う仕事をしている人にアンケートを行った結果、緊急事態宣言の発表後、人との接触機会が減った率が、原則、テレワークをしている人では8割を超えていたことが分かりました。
社会心理学が専門の東京大学の関谷直也准教授と、サーベイリサーチセンターは、東京と大阪で通勤を伴う仕事をしている20歳以上の男女を対象にインターネットでアンケートを行い、1000人から回答を得ました。

休日は接触8割近く減少も平日は…

アンケートでは、7都府県に緊急事態宣言が出される今月7日の前後の1日ごとに、「人との接触の機会がどの程度減ったと思うか」を尋ねました。

回答のうち接触機会が減った率を平均すると、4日土曜日は72%、5日日曜日は79%と政府が呼びかける8割の削減に迫っていました。

しかし、平日の6日間は、接触機会の減った率は52%から69%にとどまり、週末の土日に比べて接触する機会が多くなっていたことが分かりました。

「原則テレワーク」の人は8割減を達成

さらに、アンケートでは、回答した人が在宅勤務などのテレワークを行っているかを尋ね、分析しました。

その結果、緊急事態宣言が出されたあとの今月8日から10日にかけて接触機会の減った率は、
▽「原則、テレワークをしている」人は83%から86%と8割を超えていたのに対し、
▽「週に1回から3回テレワークをしている」人は63%から71%、
▽「テレワークができない、していない」人は49%から52%にとどまり、テレワークをしているかどうかで大きな差が出ました。

専門家「テレワーク増加 意味ある」

調査を行った関谷准教授は「テレワークを実施している人は人との接触を減らすことができていて、テレワークを増やしていくことは意味があることが分かった。感染症対策が長期的に続くことを考えれば、テレワークに移行できる業務をしぼりこんでどんどん移行していくことが大切で、行政としてもネットワークの環境整備やコンピューターの購入の支援など、さまざまな施策を長期的に進めていくことが大事だ」と指摘しています。

一方で、テレワークできない職種も相当程度あるとしたうえで、関谷准教授は、「こうした職種の人たちの接触率を8割に近づけていくには、ただ自粛を呼びかけるだけでは難しい。これ以上接触率を減らすためには、今後、休業する企業を増やすなどの努力も必要になってくると思う」と話していました。

感染「とても不安」 1か月で2倍近くに

東京大学の関谷准教授は、新型コロナウイルスに対する意識や行動についても調査していて、多くの人がどのようなことに不安を感じているのかが浮かび上がってきています。

今月3日から6日にかけてサーベイリサーチセンターとインターネットでアンケートを行い、全国の20歳以上の男女合わせて4700人から回答を得ました。その結果です。

《感染「とても不安」が倍増》

自分自身が感染することについて、どの程度不安か尋ねたところ、
▽「とても不安」が45%と最も多くなり、
次いで、
▽「やや不安」が39%、
▽「どちらともいえない」が7%、
▽「あまり不安を感じない」が6%、
▽「まったく不安を感じない」が2%でした。

同じ調査を先月行ったときは、「とても不安」と回答した人は24%で、1か月ほどの間に2倍近くに増えたことになり、多くの人がリスクを身近に感じるようになったことが分かりました。

《7割「いつまで続くか」不安》

具体的に何に不安を感じるか、12の項目ごとに尋ねたところ、「とても不安だ」と回答した人の割合は、
▽「いつまで続くのか見通しがわからないこと」が70%と最も多く、多くの人が今後の見通しに不安を感じている現状が浮き彫りになりました。

次いで、
▽「日本でも感染者の爆発的な増加が起こり得ること」が64%、
▽「効果的な治療薬やワクチンがないこと」が63%などでした。

《「コロナ疲れ」が半数超》

現在の心身の状態についても8つの項目で尋ねました。
▽「テレビが新型コロナウイルスの話題ばかりで疲れた」と感じている人は57%と最も多く、
次いで、
▽「品切れなどでほしいものが手に入らずストレスが増えた」が50%、
▽「新型コロナウイルス感染症への対策を行うことに疲れた」が47%でした。

《8割超が「対策継続できる」》

人が密集する場所は避けるなど感染防止の行動を事態が収束するまで続けることができるか尋ねたところ、
▽「続けることができると思う」が38%、
▽「まあできると思う」が46%となり、合わせて84%に上りました。