3月の訪日外国人旅行者 93%減 過去最大の減少幅 新型コロナ

3月の訪日外国人旅行者 93%減 過去最大の減少幅 新型コロナ
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先月、日本を訪れた外国人旅行者は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で去年の同じ月と比べて93%もの急激な減少となりました。東日本大震災直後の落ち込みを超える過去最大の減少幅で、感染拡大による国内経済への打撃は一段と深刻なものとなっています。
日本政府観光局によりますと先月、日本を訪れた外国人旅行者は、推計で19万3700人で、去年の同じ月と比べて93%減りました。

旅行者の減少は6か月連続で、減少幅としては、東日本大震災直後の2011年4月の62.5%の減少を超える過去最大の落ち込みです。

また、1か月間の外国人旅行者数が20万人を下回るのは、1989年2月以来、31年ぶりです。

これは新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で、中国人旅行者が1万400人と、98.5%減ったほか、韓国人旅行者も1万6700人と、97.1%減少したためです。

このほか、感染が急速に拡大したアメリカが87%減少したほか、ヨーロッパでもイタリアが90%、イギリスが82.4%それぞれ減りました。

日本政府は、感染拡大を防ぐために現在、世界73の国と地域からの外国人の入国を拒否しているほか、日本人も含め、すべての国と地域から入国する人に対して指定場所での2週間の待機を要請するなど、水際対策をさらに強化しています。

今月以降も大幅な落ち込みが続く見通しで、感染拡大による国内経済への打撃は非常に深刻なものとなっています。

背景に政府の水際対策強化

3月の外国人旅行者数が大きく落ち込んだ背景には、新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、政府が段階的に水際対策を強化してきたことがあります。

日本政府はことし2月に中国・湖北省に滞在歴などがある外国人の入国を拒否して以降、先月9日には、中国と韓国からの日本人を含むすべての入国者に対して指定した場所で2週間待機するよう要請を始めました。

入国拒否の対象には、先月7日までに、韓国やイランの一部の地域が、先月27日までにイタリアやフランスをはじめヨーロッパ21か国などが加わりました。

さらに今月3日からはアメリカやイギリスなど新たに49の国と地域のほか、中国や韓国全土からの外国人の入国を拒否する厳しい措置をとりました。

現在、入国拒否の対象は世界73の国と地域に上っています。

また、入国拒否の対象になっていないほかの国と地域からの入国者に対しても2週間の待機を要請していて、日本への入国が厳しく制限されています。

こうした措置を受けて航空各社では、大幅な運休や減便を決めています。

国土交通省によりますと、海外と日本を結ぶ国際線は、今月12日からの1週間では、260往復にとどまります。

これは、去年の夏ダイヤの1週間当たり5500往復余りと比べると20分の1程度にまで激減しています。

外国人旅行者は、去年は、3188万人と7年連続で過去最高を更新し、消費額も4兆8000億円余りに拡大して地域経済の活性化にも貢献してきました。

しかし、世界的に感染拡大の収束時期が見通せないなか観光業への影響も長期化することが懸念されています。

観光庁長官「厳しい状態 続くと認識」

観光庁の田端浩長官は、記者会見し、「大変大きな落ち込みだ。世界的に旅行が控えられているし各国が水際対策を強化し、航空便も減っているため大きなマイナスになっている」と述べました。

そのうえで、今後の見通しについて、「4月については各国の入国規制などの状況を踏まえても、厳しい状況が続くと認識している。感染症の封じ込めの実現がいつごろになるか、今後の見通しは立てることはできないが、できるだけ早く安心感を持って旅行できる環境を作り上げ、国際的な移動が回復していくように取り組んでいきたい」と述べました。