医師が記したコロナ予防法“敵は塗りたてのペンキ”

医師が記したコロナ予防法“敵は塗りたてのペンキ”
見えないが故に高まる新型コロナウイルスへの不安。こうした中、クリニックの内科医がウイルスをペンキに例えSNSに投稿した予防法が話題です。それによると「外は一面塗りたてのペンキの世界」。外出したあなたがペンキを体内に取り込まず家も汚さずに過ごす方法とは。
(ネットワーク報道部 記者 大石理恵 國仲真一郎)

ペンキで想像力を

話題の予防法がこちら、「コロナ感染から身を守る方法」です。
ユニークなのは、目に見えないウイルスをペンキに例えていること。1歩外に出たらそこはすべて、塗りたてのペンキの世界だと想像して行動するよう求めていることです。
「コロナ感染から身を守る方法」より
「電車の座席に座ったら、『あぁ今背中とお尻にごっそり塗りたてペンキが付いたな』と思ってください。エレベーターのボタンを押したら『あぁ今指先にペンキが付いたな』と思ってください」
そのうえで、手に付いたペンキの汚れを体の中に取り込まないことが大事だと呼びかけます。
「コロナ感染から身を守る方法」より
「目標は、口や鼻にペンキをつけないことです。人間誰でも、うっかり手で鼻をこすったりします。なので、マスクを持っていればマスクをしてください。マスクがなければ、ペンキ付きの手で自分の鼻や口をうっかり触らないように気を張りましょう」
どうでしょう?ウイルスが付着した物体の表面に接触することによる接触感染とその予防方法が具体的にイメージできますよね。

いまできる具体策を

これを書いたのは、都内のクリニックに勤める内科医の眞鍋葉子さん。アルコールやマスクが不足する中で、それらがない場合でも感染リスクを下げる方法があることを伝えたいと思い、まとめたそうです。
眞鍋葉子さん
「日々、感染者が増える中でまるでロシアンルーレットのように『次は自分の番か』と恐怖を感じている人も多いのではないでしょうか。私はコロナウイルスの専門家ではありませんが、特別な資材がなくてもいまできる具体的な対策を示したいと考えました」

“意識が足りてなかった”

眞鍋さんがこの記事をフェイスブックに投稿すると、多くの反響が寄せられました。
「見えないコロナウイルスへの考え方、とてもわかりやすい」
「買い物した後、ここまで気をつけられていたかというと、意識が足りてなかった」
「私は手洗いはやたらしてたけど、家の中の動きが甘かったので、気を引き締めて生活します」
4月15日時点で閲覧したのは12万人に上っているそうです。
靴底もペンキを広める?
先日、ネット上では、ある研究論文が話題になりました。
アメリカのCDC=疾病対策センターの機関誌(オンライン版)に掲載された論文です。
新型コロナウイルスに感染した患者の治療を行っていた中国 武漢市内の病院で、院内のどの場所でウイルスが確認されたのか調べたものです。
その結果、患者の多いエリアに加えて、患者がおらず医療従事者だけが出入りする薬局エリアでの床でも、100%のウイルスの陽性反応があったとのこと。
患者がいない場所なのに、どうしてウイルスが?
論文では「ICU=集中治療室に勤務する医療従事者の靴底を調べたところ、調査対象の半分からウイルスの反応があった」として、「靴底がウイルスを拡散させている可能性がある」と指摘しています。
この調査結果が私たちの一般家庭に直ちに当てはまるかどうかはわかりません。ただ、どこに塗りたてのペンキがあってもおかしくないという意識だけは必要なのかもしれません。

“防衛ライン”の設定を

さて、外出先でペンキまみれになっているだろう私たち。
帰宅して家の中をペンキだらけにしないためにはどうすればいいのでしょうか。
眞鍋さんは、家の中で、ペンキを持ち込まない“防衛ライン”を設定することが大切だといいます。
ちなみに眞鍋さんの場合は「玄関」です。
今、実践している手順を教えてくれました。
1 外から帰ったら、かばんは部屋には持ち込まず玄関に置く
2 上着も玄関に置く
3 服も玄関で下着以外脱いでしまい、そのまま洗面所に直行して洗濯機につっこむ
4 そのままお風呂に直行してシャワーを浴びて、髪の毛の“ペンキ”も落とす
眞鍋さんはここまですると「家の中にはペンキを持ち込んでいない!」とリラックスできるそうです。
また、眞鍋さんの家では、外出前にあらかじめお風呂のドアや洗面所のドアをすべて開けておくそうです。
帰ってきたあとにペンキのついた手で触れる場所は、玄関のドアノブと電気スイッチ、洗面所の金具だけになるようにするためです。家で家族がいる人は開けてもらってもいいかもしれません。

大切なのはゾーニング

ちなみに防衛ラインはそれぞれの家庭の考え方や事情にあわせて決めればいいと言います。
例えば、食事をするダイニングだけはウイルスを持ち込まないと決め、それ以外の場所はペンキが付いていると思って行動する、というのもアリだそうです。
会社の資料を家に持ち帰って読むときは、資料を広げる机などを決めておいて、そこからダイニングに移って食事をとる際には手を洗うというようにゾーニングすることが大切だといいます。

スマホや荷物は?

さらに眞鍋さんが思わぬ危険があると指摘するのが、スマホです。
内科医 眞鍋葉子さん
「外でペンキまみれの手で触ったものを、屋内に持ち込んて、せっかくきれいになった手で触ってそれを口に入れたら元も子もありません」
家の中ではスマホを密封できる透明な袋などに入れて操作する、あるいはアルコールなどがある場合は消毒するよう勧めています。
さらに眞鍋さんの家では外から届いた荷物などを念のため、玄関に72時間放置してから開封しているそうです。
時間がたつとウイルスは不活性化するからです。

感染者が十分に医療を受けられるよう

眞鍋さんは、自身が書いたこうした情報が多くの人に読まれていることについて「わかりやすい情報が求められている」と感じる一方で、新たな懸念も感じているといいます。
それは、感染してしまった人に「予防を怠ったからだ」という批判が向けられることです。
内科医 眞鍋葉子さん
「感染リスクを下げる方法が多くの人に浸透すればするほど、感染した人への批判が起きるおそれもあると心配しています。でも私がこうした情報を書いた目的は違います。みんなが気をつけることで感染者が減り、気をつけていても感染してしまったという人が十分な医療を受けられる環境が整うことなのです」
新型コロナウイルスと向き合う日々はまだ続きます。大切な家族を守るために家の防衛ラインを話し合ってみてはいかがでしょうか?