キャッシュレスの「利点」と「課題」って?

キャッシュレスの「利点」と「課題」って?
新年度から「週刊まるわかりニュース」で始まった「ミガケ、好奇心!」。ニュースの「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を、実際に入学試験で出された時事問題などを題材に、毎週、考えていきます。

ますます関心高まる?キャッシュレス

2回目のテーマは「キャッシュレス」。
去年10月に消費税率が10%に引き上げられてから、4月で半年。
ことし6月末までは、クレジットカード、交通系の電子マネー、スマホなどを使ってキャッシュレスで支払うと最大5%還元される制度があるので、導入している店が増えていますよね。
最近は新型コロナウイルスの感染拡大で、「お金」に対する意識が変わってきたという人もいます。
例えばこちらの写真、お札が焦げていますが、なぜかわかりますか?
実は韓国で、新型コロナウイルスがうつることを心配して、お札を電子レンジで加熱し、燃やしてしまったという人がいたんです。
大勢の人が触れた物を警戒してしまう気持ち、わからなくはないですが…。
WHO=世界保健機関では、「お金を使うことに特に警告や声明を出していないが、お金を触ったあとはしっかり手洗いを」と話しています。
お金を触らなくてすむキャッシュレス、これからますます関心が高まるかもしれませんね。
そんなキャッシュレス、ことしの私立中学の入試問題になっています。
問題
キャッシュレス決済の消費者にとっての「利点」およびキャッシュレス決済に関する「課題」をそれぞれ1つ挙げなさい
「利点」と「課題」とは。
うーん、小銭を持ち歩かなくていいとか、いろいろありそうですが、改めて聞かれると…。

お金の「役割」を考えてみる

そこで、ミガケ取材班が向かったのは、都内の学習塾。最難関校を目指すクラスを担当する、相澤好寛さんに聞きました。
相澤さんは、まず「利点」を考えるには、「お金」の役割について学ぶことが大事だと言います。
その「役割」とは…。
1 ためられる
2 運べる
3 ものさし
この視点で、考えてみると…
早稲田アカデミー 相澤好寛さん
「例えば1万円の物があったとして、高いなと思うのはなぜかというと、他の安い物を知っているからです。例えば400円の『のり弁』を25個買えるなと思うと、1万円の物は高いと思う。これが『ものさし』です。さらに『のり弁』はお金の役割ができるかというと、ためてもしょうがないし、運んでも大変」
こうして「お金」の役割を考えると、実はキャッシュレスは「究極のお金」だそうです。
早稲田アカデミー 相澤好寛さん
「キャッシュレスは、究極ですよね。ものさしとしての価値は持っていますし、保存できますし、運ぶのはお金よりも安全です」
というわけで、キャッシュレスの「利点」としては、「お金」の役割である「持ち運び」や支払いが楽になることが挙げられるそうです。
また、「海外に行っても両替が必要ない」こともメリット。それに、「感染症が心配な人は、多くの人が触れたお金に触らなくていい」ことも利点と言えるかもしれませんね。

キャッシュレスの「課題」は?

いいことばかりのような気もしますが、何か「課題」もあるんでしょうか?
相澤さんが指摘したのは、「わかりにくさ」でした。
確かに高齢者のなかには、機械が苦手でキャッシュレス決済の使い方がよくわからない、という人もいますよね。また、「いくつも似たようなサービスがあって違いがわかりにくい」とか。
ほかには、例えば、お金がちょっと足りないとき…
早稲田アカデミー 相澤好寛さん
「現金を使っていたら2円足りないから買えない、ということになるが、キャッシュレス決済を使っていたらそういう思いはしなくて済んでしまう」
便利な反面、お金を払う感覚が薄れてしまって、ついつい使いすぎてしまう懸念もあるということです。

今の若い人たちにとっては、もはやキャッシュレスは当たり前。でも相澤さんは、昔はもともと物々交換だったものが、コインや紙幣になって…という「お金の歴史」を学び、昔はどんな不便なことがあったのか、などと考えてみることも大切だと教えてくれました。

では、この問題に対する模範解答の一例です。
キャッシュレスの「利点」は、現金を持ち運ばなくてよくなること。「課題」は、使い方がわからなくて使えない人がいるということでした。
また実際の入試では、課題の解決方法も問われました。
これについては、講習会などを開いて使い方をよりていねいに説明して使いやすくする、ということでした。

「お金」のことを考えるって大事

いま、新型コロナウイルスのニュースが連日報道されていますが、中には、収入が減った世帯への現金給付など、「お金」に関わるものも少なくありません。
相澤さんは、「お金」のことをきちんと知ることで、こうしたニュースへの理解も深まると言います。
早稲田アカデミー 相澤好寛さん
「たとえば、現金と商品券で、どちらで配ったほうがありがたいかという論争がある。あしたの決済にも困るかもしれないという人にとっては、現金のほうが利点があると言える。一方で、商品券を配った場合は、貯蓄に回さずに、商品を買ってもらうことが期待できる。今回の新型コロナウイルスの感染拡大に関しては、残念なことばかりだが、社会の在り方を考える機会にしてほしい」
「政治」や「経済」は、子どもたちにとっては「関係ない、知らない」となりがち。
でもこうしたニュースを、社会について考えるきっかけにしてほしいですね。