欧州 外出制限 フランス イタリアは延長 オーストリアは緩和に

欧州 外出制限 フランス イタリアは延長 オーストリアは緩和に
新型コロナウイルスの感染拡大が続くヨーロッパでは、フランスとイタリアが外出制限を来月上旬まで延長する一方、オーストリアは、新たな感染者が減少する傾向にあるとして、外出制限の段階的な緩和に踏み切るなど、対応が分かれています。
このうちイタリアでは、先月10日から全土で外出制限が始まりましたが、感染者の増加は止まらず、先月21日には1日当たりの感染者が最も多い6557人となりました。しかし、外出制限を始めてから3週間後の先月末以降は減少傾向が続いています。

NHKの取材に対し、医療データの分析に詳しい専門家は、「外出制限の効果は、始めてから2週目に出始めて、3週目に最大限の効果が得られている」と指摘しています。

イタリアの感染は北部が中心ですが、ここで制限を緩めれば医療が手薄な南部でも感染者が急増するおそれがあることなどから、政府は、全土での外出制限を来月3日まで延長することを決めました。

国内では医療サービスを支える取り組みが続いていて、このうち首都ローマでは、ホテルを症状の軽い患者などの隔離施設にして、体温や血中の酸素の濃度などを1日2回報告してもらうほか、医師が1日1回、診察を行っています。

公立病院の病院長は「ホテルの利用は患者を病院から退院させ、入院を待っているほかの患者の受け入れを可能にする」と述べて、医療サービスの強化につながっているとしています。

外出制限をめぐっては、フランスも、来月11日まで延長することにしましたが、ヨーロッパ中部のオーストリアは、新たな感染者が減少する傾向にあるとして、14日から一部の店舗の営業を認めるなど、外出制限の段階的な緩和に踏み切り、ヨーロッパの国で対応が分かれています。

オーストリアは段階的な緩和に

ヨーロッパ中部のオーストリアでは、新型コロナウイルスの新たな感染者が減少する傾向にあることから、14日から一部の店舗の営業を認めるなど、外出制限の段階的な緩和に踏み切りました。

オーストリアは14日の時点で、感染者の数が1万4100人、亡くなった人は368人になりました。

一方、新たに感染が確認される人の数は、先月27日には、1000人を超えていましたが、今月4日以降は、100人から300人台に減っています。

オーストリア政府は、感染の封じ込めに向かっていると一定の評価を下し、先月から全土で行っている外出制限に伴う措置を一部緩和して、14日からは面積が400平方メートル以下の小規模の店舗のほか、園芸用品店やホームセンターの営業を認めました。

ウィーン中心部の繁華街では、衣料品店など一部の店が1か月ぶりに営業を再開し、店員はマスク姿で、開店の準備にとりかかっていました。

市民からは「小さな店は経営の危機にひんしているので、重要だと思う」と歓迎する声が聞かれる一方、「もう少し待つべきだ。店を開けたら人が密集し、感染のリスクが高まってしまう」と心配する声も聞かれました。

規制の緩和にあたり、政府は市民に対し、マスク着用の義務化を進めていて、14日からは、店に入る際や公共交通機関を利用する際には、必ずマスクなどで口と鼻を覆うよう求めています。

来月1日からは、営業を認める対象をホテルやレストランを除くすべての店舗に広げる予定で、感染状況の推移を見極めながら規制の緩和を慎重に進めていく方針です。

「状況が悪化すれば再び規制強化も」

オーストリアの感染状況について、ウィーン病院協会の医療部門トップ、ミヒャエル・ビンダー医療局長はNHKのインタビューに対し、首都ウィーンの状況について、「ベッド数は足りており、患者の受け入れに問題は起きていない。緊急時に備えて、3000床の仮設の病院も準備している。現時点で医療態勢は順調に機能していて、それが致死率の低さにもつながっている」と述べました。

そのうえで、「オーストリアは、ヨーロッパのほかの国と比べても、新たに確認される感染者が安定して減ってきている。段階的に店舗を再開するという措置は、ほかの国のモデルとなりうるだろう」と述べ、政府が、国内で感染が広がり始めた早い時期に外出制限を行ったことが一定の効果をうみ、制限の緩和に踏み出す環境が整ったという見方を示しました。

一方で、ビンダー局長は、「ウイルスは、いつでもすぐに広がるおそれがあることを忘れてはならない。店舗の再開後、日々の感染者の推移を注視していくことがとても重要だ。感染状況が悪化すれば、再び規制を強化する必要がある」と述べ、今後の感染者の推移を慎重に見極める必要があると警告しました。