新型コロナ感染拡大 困窮するシングルマザー

新型コロナ感染拡大 困窮するシングルマザー
「食べるものがなくなった」
「家賃が払えなくなった」
「仕事にもいけない」

ひとり親家庭の支援をしているNPOに寄せられた母親たちからの切実な声です。
新型コロナウイルスへの感染が拡大する中、NPOには生活に困窮するひとり親からの相談が相次いでいて、国や自治体に1日も早い、具体的な対策を訴えています。

収入減・ゼロが半数以上

ひとり親家庭の支援をしている東京のNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」は今月2日から5日にかけて全国の会員を対象に、新型コロナウイルスの影響についてインターネット上でアンケート調査を行い、205人から回答を得ました。

それによりますと、仕事をしていると答えた人の半数以上がパートやアルバイトなど非正規雇用で、「収入が減る」と答えたのは全体の47.4%、「収入がなくなる」と答えた人も5.7%にのぼりました。

生活困窮の切実な声

寄せられた相談の内容です。

「ガソリン代がなくなって日払いの仕事にも行けない。一家心中したい」
「家賃が払えなくなった」
「食べるものがなくなって、どうしていいかわからない」

収入が減り、家賃や食費に困るようになったという切実な相談が多く寄せられているということです。

さらに「自分がコロナウイルスに感染したら誰が子どもの面倒を見てくれるのか」という感染への不安などの相談も寄せられています。

収入が減る一方で、学校が休校になり子どもたちが自宅にいる時間が増えたため、食費や光熱費、自宅学習の教材費などの出費が増え、ほとんどの家庭で生活はより厳しくなっているということです。

NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は、「預貯金がなく、平時でも自転車操業という人も多い。子ども1人につき5000円でも支出が増えればお手上げになってしまう」と危機感を強めています。

そのうえで国や自治体に対して、早急に具体的な対策を行うよう訴えています。

独自支援の自治体も

こうした中、ひとり親世帯に対して独自の支援を決めた自治体もあります。

兵庫県明石市は、市の窓口にひとり親世帯から「パートが休みになった」「仕事を探している」などの相談が寄せられているとして、市内で児童扶養手当の支給を受けている、およそ2100世帯を対象に3万円を支給することにしました。

NPO法人の赤石理事長は、「生きるのも大変だという声が多く来ている。明石市などのような支援が国やほかの自治体にも広がってほしい」と話していました。