神戸市の拠点病院で院内感染相次ぐ 救急医療体制に危機感

神戸市の拠点病院で院内感染相次ぐ 救急医療体制に危機感
神戸市では救急医療の中核を担う病院で、新型コロナウイルスの院内感染が相次ぎ、救急患者の受け入れを取りやめる事態になっていて、神戸市は救急医療の体制がひっ迫するおそれがあると危機感を示しています。
神戸市では感染症指定医療機関として、新型コロナウイルスの感染者の治療拠点となっている、神戸市立医療センター中央市民病院や一部の感染者を受け入れている神戸赤十字病院で、医師や看護師など病院スタッフが感染する院内感染が相次いで起きました。

中央市民病院では、今後も重症の感染者については受け入れて治療を行いますが、いずれの病院も新たな外来診療や入院患者のほか、救急患者の受け入れを原則、取りやめています。

これら2つの病院は神戸市の中核病院として救急医療を担っていて、なかでも中央市民病院は命に関わる重症患者に対応する「3次救急」を担う、「救急医療の最後のとりで」とされています。

神戸市では今後、当分の間「3次救急」については、中央市民病院に代わって、兵庫県災害医療センターと神戸大学医学部付属病院が対応することになっています。

神戸市の久元喜造市長は13日の記者会見で「これ以上、感染が広がれば市内の救急医療の体制がひっ迫する」と危機感を示し、院内感染の拡大防止などに全力を挙げる考えを示しました。

中央市民病院では14人感染確認

中央市民病院では今月9日、入院していた70代の女性の感染が発表されました。

そして、今月11日には40代の男性と70代の女性の入院患者2人、20代から50代の看護師を含む職員10人、それに清掃スタッフの20代の女性1人の感染が明らかになり、院内での感染は合わせて14人になりました。

神戸赤十字病院の医療スタッフ6人感染確認

神戸赤十字病院では、新型コロナウイルスの患者の治療を行っている病棟で勤務する20代の女性看護師の感染が12日、明らかになりました。

そして、同僚の職員らの検査を行った結果、新たに医師4人が陽性と判明しました。

さらに、神戸市が今月10日に感染を発表していた50代の女性が、この病院の看護助手だったこともわかり、感染が確認された医療スタッフは6人に上っています。

兵庫県災害医療センター長「いまはギリギリ」

中央市民病院に代わって「3次救急」を担うことになった、神戸市にある兵庫県災害医療センターの中山伸一センター長は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、救急医療もひっ迫した状況になっていると危機感を募らせています。

中山センター長は「新型コロナウイルスは、感染していても症状がなかったり熱がなかったりと、感染しているか救急現場ではわかりにくい。現場では、マスクや防護する資機材も非常に減っていて、市中感染が広がると完全な防護ができないため、私たちが患者からウイルスをもらい、広げることになりかねず、『命のとりで』である医療機関が非常にピンチになっている」と話します。

そして「県内でも救命救急センターがコロナウイルスへの対応を余儀なくされている中で、一般救急が以前よりまして苦しい状況になっている。いまはギリギリのところで頑張っているが、これ以上、患者が増えてしまうと対応しきれないということになりかねないので、市民の皆さんには健康管理と感染予防をしっかりするようお願いしたい」と市民への協力を呼びかけました。