在宅勤務なのにハンコを押すために出社…

在宅勤務なのにハンコを押すために出社…
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急ピッチで在宅勤務を進める企業にとって、ネックとなっているのが印鑑です。契約書に印鑑を押すため、今も出社を迫られる会社もあります。
感染拡大を受け、東京 品川区のIT企業「アステリア」は、代表電話の対応を外部委託したり、社内決裁をすべて電子化したりして、70人の従業員のほぼ全員を在宅勤務に切り替えました。
取引先に対してもこの2か月間、電子契約への切り替えを依頼し、8割の企業を説得できましたが、まだ2割の企業では契約書に印鑑が必要なため、在宅勤務のなか4人の社員が定期的に出社し、書類を作成して印鑑を押す業務を続けています。
社長も印鑑を押すため週に1度、出社せざるをえないのが実情で、10日も、社長と経理担当の社員が、ほかの社員がおらず照明が消された薄暗い社内で、契約書に社長印を押していました。
この会社の電子契約は、社内のコンピューターに記録を残したうえで電子印鑑を押した文書を暗号化して相手に送る仕組みで、今月中に、取引先への説得を終え、完全な在宅勤務に移行したいとしています。

平野洋一郎社長は「電子契約が簡単にできることを伝え、全社でテレワークができるようにしたい」と話していました。

電子契約の普及は国内4割

印鑑や手書きの署名に代えてインターネット経由で書面をやり取りする電子契約は、普及が進んでいるものの、一部でも導入している企業は国内で4割にとどまっています。

インターネットを通じた取り引きでは、印鑑を押したり名前をサインしたりしなくても、相手と会わずに安心して契約できるよう、送り手と受け手が暗号を使って書面をやり取りする電子契約が用いられています。

こうした電子契約の運用に関わる日本情報経済社会推進協会によりますと、日本国内の企業で、電子契約を一部でも導入している企業は、ことし1月時点で43.3%にとどまっているということです。

また、首都圏のIT企業などおよそ30社でつくる「TDMテレワーク実行委員会」によりますと、テレワークを推進している会員企業であっても、9割の会社で印鑑を押すための出社を余儀なくされているということです。