重篤患者に人工心肺装置で治療 うち半数が回復も課題 北海道

重篤患者に人工心肺装置で治療 うち半数が回復も課題 北海道
新型コロナウイルスに感染して重篤な症状になり、人工心肺装置を使った治療を受けた患者のうち、北海道では、半数に当たる60歳前後の患者3人が回復したことが分かりました。一方で、この治療には専門的な医療スタッフが多く必要で、専門家は今後患者が増えると、誰を優先して治療するのか厳しい選択を迫られる可能性があると指摘しています。
日本集中治療医学会の元理事長で函館市の病院局長の氏家良人医師は、北海道で9日までに確認された感染者、延べ226人のうち、男女6人が、血液に直接酸素を送り込むことができる、ECMOと呼ばれる人工心肺装置を使った治療を受けたことを明らかにしました。

氏家医師によりますと、患者のうち、58歳の男性は死亡したものの、61歳の男性と59歳の女性の2人は回復し、60歳の男性もECMOが必要なくなるほど改善したということです。

現在、ECMOを使った治療は重篤な患者の多くに対して行われていますが、治療には、専門の医師や看護師、それに臨床工学技士など、通常の治療より多くの医療スタッフが必要で、氏家医師は、今後患者が増えると、必要な患者すべてに対して行うのは難しくなると懸念しています。

氏家医師は「効果が見込める人に確実に使えるよう、誰を優先して治療するのか、命の選択を求められるおそれもある」と指摘しており、「75歳を超える高齢者や慢性の心不全か呼吸不全など持病がある人に使うのは難しいかもしれない。だからこそ、感染しないための対策を徹底することが大事だ」と強調しています。