介護施設 感染防止で高齢の親と面会できず 心配する声も 千葉

介護施設 感染防止で高齢の親と面会できず 心配する声も 千葉
新型コロナウイルスの感染を防ぐため高齢者が入所する多くの介護施設では家族などの面会が制限されていますが、長い間親と会えていない家族からは体調などを心配する声が上がっています。
千葉市の特別養護老人ホーム「稲毛こひつじ園」では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2月中旬から入所者への面会を断っています。

千葉市に住む飯野三紀子さん(56)は、15年間自宅で介護を続けてきた母親の須長文子さん(92)が足の骨を折り自宅で過ごすのが難しくなったため、去年11月から施設に預け、週に1回面会に訪れていました。

しかし、この2か月間は施設の外で職員に薬などを預けるだけで直接会うことはできず、高齢の文子さんが体調の変化をきちんと伝えられているか心配しています。

そうした中、10日は職員のはからいで、文子さんが両脇を支えられながら3階の部屋のベランダに出ることができ、飯野さんは中庭から久しぶりに母親の顔を見ることができました。

飯野さんは「動いている姿が見られ安心しました。感染予防のためしっかり対応してもらいありがたいですが、元気な様子も確認したいし、複雑です。早く感染が終息して、母の体に触れたいです」と話していました。

勝山裕則施設長は「少しでも親の顔を見たいという声もありますが、集団感染が何より心配です。長い闘いになりそうですが入所者の方も職員も守っていきたい」と話していました。

千葉市 340施設に面会制限呼びかけ

高齢者や障害者などが入所する施設での面会については、厚労省がことし2月下旬新型コロナウイルスの感染を防ぐために緊急でやむをえない場合を除き、制限することを求める通知を自治体に出しています。

これを受け千葉市は市内の特別養護老人ホームなど高齢者が入所するおよそ340の施設に対し、家族などの面会を制限するよう呼びかけていますが、施設側からは「家族と会えずに精神的なストレスを感じる人も出てきて体調への影響が心配だ」といった相談が寄せられているということです。

千葉市の熊谷俊人市長は、9日の会見で「スマートフォンのテレビ電話を使って入所者に家族の顔を見ながら話をしてもらっている施設もある。家族とのつながりを感じてもらうため、ほかの施設にもそうした事例を紹介していきたい」と話していました。