新型コロナ 感染拡大で世界貿易30%超の減少も WTOが予測

新型コロナ 感染拡大で世界貿易30%超の減少も WTOが予測
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新型コロナウイルスの感染拡大で世界各国で経済活動の停滞が続いていることを受けて、WTO=世界貿易機関はことしの貿易量が世界全体で30%以上、減少するおそれがあり、北米やアジアの輸出が深刻な打撃を受けるという予測を明らかにしました。
WTOは8日、世界全体のモノの貿易量について、ことしの予測を発表しました。

それによりますと新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長引くと去年に比べて31.9%の大幅な落ち込みとなり、ことし後半から貿易量が回復する楽観的なシナリオでも12.9%減少するとしています。

WTOはことしの貿易量の落ち込みは2008年のリーマンショック直後を上回る可能性が高いとしています。

このうち輸出をみると、北米や日本を含むアジアへの打撃が特に大きく、北米は最大40.9%、アジアは最大36.2%、それぞれ減少とするとしています。

アゼベド事務局長は「各国が人々の命を守るために前例のない措置をとらざるをえないためで、これらの数字には目を背けたくなるが、避けることはできない」と述べています。

WTOは現時点で来年・2021年の貿易量はことしに比べて20%以上回復すると見込んでいますが、感染拡大の状況や各国の対応に左右されるため、先行きは不透明だとしています。

独の成長率 過去最大の落ち込みか

新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の停滞が続くヨーロッパでは、最大の経済大国ドイツの成長率が4月から6月に過去最大のマイナス9.8%に落ち込むと予測されるなど、先行きへの懸念が一段と強まっています。

ウイルスの感染拡大が深刻なヨーロッパでは外出制限などの措置がとられ、レストランをはじめとする多くの店舗が営業を取りやめ、自動車の工場などは稼働を停止したままになっています。

こうした状況が経済に与える影響についてドイツでは8日、主な経済研究所が共同で分析した結果を発表しました。

それによりますとドイツのGDP=国内総生産の伸び率はことし1月から3月はマイナス1.9%となり、これに続く4月から6月はマイナス9.8%に落ち込むと予測しています。

四半期で9.8%の下落は、リーマンショック直後の2009年1月から3月と比べて2倍以上にあたり、統計を取り始めた1970年以降で最大だということです。

また、フランスの中央銀行も8日、先月17日から始まった外出制限で経済活動が大幅に縮小したことなどからことし1月から3月のGDPの伸び率は、マイナス6%程度となり、1945年以降、最大の落ち込みになるという予測を発表しました。

外出制限は2週間続くごとに年間のGDPを1.5%程度減少させるとしています。

これについて、フランスのルメール経済相は、「この経済危機は、深刻さと長さという点で1929年の世界恐慌としか比べられない」と述べていて、ヨーロッパ経済の先行きへの懸念が一段と強まっています。