データ分析 緊急事態宣言で東京都内の人出はどう変化したか

データ分析 緊急事態宣言で東京都内の人出はどう変化したか
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緊急事態宣言が出された7日にかけて、東京都内の人出はどのように変化したのか。携帯電話の位置情報のビッグデータをもとに分析して推計した結果、渋谷では多い日に比べて人の数が7割近く減少するなど、都心部を中心に大きく減少していたことがわかりました。「夜の街」から「お年寄りの集う街」まで、データの分析結果を詳しく紹介します。

ビッグデータ分析 都心を中心に人出が減少

緊急事態宣言が出された7日の、午前9時から日付が変わるまで都内にいた人の数について、携帯電話の位置情報のビッグデータをもとに個人が特定されない形で推計し、1週間前の火曜日(3月31日)の同じ時間帯と比較しました。

100メートル四方の区画ごとに分析して、地図上で表示します。
オレンジ色で示しているのが人が増えたエリア、青色で示しているのが人が減ったエリアです。

都心部の広い範囲が青くなっていて、すでに人出が少なくなっていた1週間前よりも、さらに減少していることがわかります。

渋谷は7割近く減少

たとえば、渋谷駅の周辺。スクランブル交差点など広い範囲で減少しています。

この1か月の間には、外出の自粛要請などいろいろな動きがありました。

そこで、1週間前との比較だけでなく、この1か月ほどの人の動きを見てみるとどうなるのか。

3月1日から4月7日までの人の数の推移も、分析してみました。先ほど見た渋谷のスクランブル交差点付近をグラフで見てみます。
3月は上旬から中旬にかけて、曜日によって違いがあるものの、ほぼ横ばい。

「自粛ムードが緩んだ」とも言われた3月下旬にかけて、一時的に人が増えました。

その後、東京都が外出の自粛要請をした3月28日と29日、4月4日と5日は一気に人出が落ち込みます。

緊急事態宣言が出された4月7日は、平日としては最も人が少なくなりました。

人出は、最も多かった3月25日に比べ、68%も減っていました。

“夜の街”はさらに減少 銀座は、六本木は…

次に、“夜の街”のこの1か月余りの人出を見ていきます。

銀座の高級クラブや飲食店が立ち並ぶ繁華街。

夕方6時から夜12時までの時間帯の変化です。土日や祝日は人が大きく減るため、平日のみを表示しています。

3月30日に東京都の小池知事が接待を伴う飲食店に行くことへの自粛を呼びかけると、大きく減少。

その後も減少傾向は続き、4月7日は、最も人出が多かった3月19日の10分の1まで落ち込んでいます。

こうした傾向は若者が集まる六本木の繁華街でも同じで、4月7日は、最も人出が多かった3月13日より72%減少していました。

生活支える商店街は

一方、データを見てみると、あまり人出に変化が現れていないのが、地域住民の日常生活を支える商店街です。
品川区の戸越銀座商店街付近の午前9時から午後6時までの推計です。

平日に比べて休日に人が多くなっていることを除き、この1か月余りの間に、ほとんど変化がありません。
また、高齢者に人気の、豊島区巣鴨の商店街のデータ。

休日は少し人が減ったようにも見えますが、平日は、ほとんど変化が見られません。

食料品などの買い出しに訪れる商店街では、人出にはあまり変化がなかったようです。

専門家「今後も継続が大事」

感染症に詳しい水野泰孝医師は「人口が減っているというデータが出たのであれば、個人個人の行動変容が進んでいると見られるので、今後も継続することが大切です。行政も宣言を出しただけでなく継続した呼びかけを続けることが求められる」と話していました。

商店街で人出が減少していなかったことについては、必要な外出であれば問題がないとする一方で、「感染のリスクを下げるために混雑する時間帯は出来るだけ避け、もし混雑していれば一度、帰宅して空いている時に出直すことも検討してほしい。また、人が密集することを避けるには店側が入場制限を設けることも効果的だと思う」と話していました。