新型コロナウイルス “3密”職場で働く保育士の不安

新型コロナウイルス “3密”職場で働く保育士の不安
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『「密集・密閉・密接」の「3密」の職場で働かざるをえない』。そんな声が上がっている職業の1つが、保育士です。新型コロナウイルスへの感染が全国で相次ぐ中、不安を抱える保育士。そのひとりに話を聞いてみると、過酷な職場環境で、心も体も追い詰められている現実が見えてきました。

“週明けに体調崩す人相次ぐ”

取材に応えてくれたのは、都内の保育所に勤める20代の男性保育士です。

保育士になって7年。およそ100人を預かる保育所の現場は、かつてないほど厳しい状況に追い込まれているといいます。体調を崩す保育士が出ているのです。

男性は「特に週明けに“休ませてください”という連絡が増えました。最近、私自身も休んだことがあるのですが、気持ちはわかります。週末の休みになるとどっと疲れが出て、体調を崩してしまうんです」と話しています。

感染の不安を抱えながら

体調を崩す大きな原因の1つが、新型コロナウイルスの感染への不安です。

男性の勤める保育所では、1日に複数回、園内を除菌しているほか、換気も頻繁に行っています。それでも、「密集・密閉・密接」の「3密」に近い環境になることは避けられません。

自分自身、満員電車で通勤することもあるという男性。誰かが感染したら、子どもにも感染が広がってしまうのではないか…。

全国で、保育士の感染が次々と報じられる中、日々の不安を次のように語ります。

「保育所の職場では、新型コロナウイルスの感染はもう防ぎようがないのではないかと感じます。“うちもいつ感染者が出るのだろう”と同僚と話しながら毎日、保育をしているんです」

「人手不足」も負担除菌する余裕もない

「人手不足」も保育士の負担を大きくしています。20人近くの常勤の保育士がいる、男性の勤める保育所。もともと余裕のない状態でしたが、体調を崩して休む人が出ているのに加え、幼い子どもを抱える保育士が少しの体調不良でも子どもと一緒に保育所を休まざるをえないケースが増えています。

そんな中、保育士の人数が配置基準ぎりぎりになる日もあり、除菌をする余裕すらもなくなるときが出てきてしまっていると言います。

“このままでは保育の体制維持できない”

この男性は、保育士の仕事に誇りとやりがいを感じる一方、今置かれている境遇に不安を感じています。

「新型コロナウイルスと最前線でたたかっている医療従事者と同じように、子どもたちの命を預かる保育士も社会を支える重要な役割を担っていると自負しています。しかし、いくらやりがいを感じても、社会的な評価や処遇は低いままです。このままでは保育の体制が、いつか維持できなくなるのではないでしょうか」

“子どもの安全を最優先に”

そんな中で出された7都府県への「緊急事態宣言」。

臨時休園を決めた保育所がある一方、登園への自粛を強く求めたうえで、施設を開き続ける判断をする保育所も出てきています。

男性の勤める保育所はこれまでどおり開くかどうかまだ決まっていませんが、男性は、行政には何よりも子どもの安全を最優先に判断してほしいと訴えていました。

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言による保育所など「職場」へのさまざまな影響について取材を続けています。ぜひ、ご意見や情報をお寄せください。

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