東京島しょ部の町村に危機感 “不要不急の来島自粛を”

東京島しょ部の町村に危機感 “不要不急の来島自粛を”
東京都内で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、十分な医療体制が整っていない伊豆諸島や小笠原諸島の「島しょ部」では危機感を募らせています。東京の「島しょ部」にあるすべての自治体は、不要不急の来島を自粛するよう要請しています。
島に訪れる人たちに対して自粛を要請しているのは、伊豆大島や神津島、八丈島など伊豆諸島にある8つの町や村のほか、小笠原諸島の小笠原村といった、東京の島しょ部にあるすべての自治体です。

東京都によりますと、8日午前の時点で、島しょ部では新型コロナウイルスの感染者は出ていないということですが、自治体はホームページで来島の自粛を呼びかけています。

このうち神津島村では「皆様、ご自身が『感染していないという保証はない』ということを認識していただきたいと思います。『島内クラスター』となることを避けなければなりません」と危機感をあらわにしています。

新島村も「皆さん、ぜひ新島・式根島においでください。いつもならこのようなお願いをするところですが、今回は違います。旅行は自粛してください。体調がすぐれない状態では絶対にお越しにならないでください」と呼びかけています。

観光が大きな収入源となっている「島しょ部」で、自粛を呼びかけるに至った背景にあるのが、医療体制がぜい弱な島で訪れる人たちによって感染が拡大することに対する懸念です。

大島町によりますと、島にある診療所は1か所のみで感染の疑いがあった場合でもPCR検査を行うことはできず、消防にヘリコプターを要請して、都内の指定病院に搬送する必要があるなど、十分な医療体制が整っていないということです。

「島しょ部」は生活圏がせまく高齢者の割合も多いことから、それぞれの自治体は、1人でも感染者が出た場合、爆発的な感染拡大につながり、重篤化する患者が多くなるのではないかと危機感を募らせています。

大島町 橘田副町長「大変な痛手で慎重論もあった」

不要不急の来島を自粛するよう要請した東京 大島町の橘田竹弘副町長は「観光地の大島としては、大型連休のある期間に自粛を要請するのは大変な痛手で慎重論もあった。しかし、島は高齢化率も高いため、健康第一に、できるかぎりの手段をとろうとほかの島と足並みをそろえることにした。来月6日までには何としても感染の拡大を終息してもらい、夏シーズンにはぜひ多くの観光客にお越しいただいて、もてなしたいと思っている」と話していました。