緊急事態宣言 “休業要請”で東京と3県に違いも

緊急事態宣言 “休業要請”で東京と3県に違いも
東京都は、6日までに法律に基づく「緊急事態宣言」が出された場合にとる措置として、事業者に休業を要請する具体的な業態や施設を方針案として取りまとめていました。一方で、神奈川、埼玉、千葉の3県は、現時点では休業の要請までは踏み込んではおらず、外出の自粛要請の効果を見極めたうえで検討するとしています。

埼玉県の方針は…

「緊急事態宣言」を受け、埼玉県では県内全域に「不要不急」の外出自粛を要請する一方、県としてとる措置の中に休業を要請する具体的な業態や施設を盛り込むことは見送りました。

埼玉県が、7日発表した緊急事態措置の中では、県内全域を対象に、来月6日までの不要不急の外出の自粛を求めています。

自粛の対象は、通勤や医療機関への通院、それに生活必需品の買い出しなどを除くとしたうえで、特に遊興施設など「3つの密」がそろう場所への外出は控えるよう呼びかけています。

また、事業者に対しては、
▽50人以上が集まるイベントの自粛のほか、
▽50人以下でも、感染防止の対策が徹底できない場合は実施を控えるよう要請しました。

一方、東京都が6日までに取りまとめた緊急事態措置の方針案のように、事業者に休業要請を行う具体的な業態や施設を盛り込むことは、経済的な影響なども考慮して、現時点では見送りました。

また埼玉県の大野知事は、これまでの会見でも「私権の制限は慎重にすべき」という考えを示していて、埼玉県は、外出自粛を要請する中で、今後の感染状況を見極めたうえで、休業要請が必要かどうか判断するとしています。

一方、埼玉県では生活必需品の買い占めや売り惜しみ、それに高値での販売などを防ぐために、対策本部の中に小売店などの監視や指導を行う部署を設けます。

この部署では、高値での販売などを見かけた場合、県に通報できる専用のホームページも開設し、県の勧告に従わない場合、店舗の名前の公表なども検討するということです。

千葉県の方針は…

このうち千葉県のとる措置の内容は、県内全域を対象として昼夜を問わず、外出自粛を要請することが柱で、東京都の方針案のように事業者への休業要請については踏み込まず、感染防止策の徹底の呼びかけにとどめています。

千葉県の関係者によりますと、政府の「基本的対処方針」は「これまでの要請を強化する一方、社会や経済機能への影響を最小限にとどめるため、細かく業種を分けて制限を設けるようなことはしない」というものになると考えて、千葉県がとる措置の内容の検討を進めていたということです。

それだけに、国の緊急事態宣言の前に明らかになった東京都がとる措置の方針案の中で、休業要請の対象とする業態や施設が具体的に細かく指定されていたことに衝撃を受けたということです。

しかしその後、国への情報収集も踏まえたうえで、休業要請までは踏み込まず、昼夜を問わず外出自粛を要請することが柱になったということです。

ただ、千葉県内の中でも感染者が多い自治体の関係者からは、国の方針や千葉県の措置の内容について「感染拡大防止のためより踏み込んだ内容を期待していたのでゆるすぎるのではないか」という声も聞かれます。

神奈川県の方針は…

「緊急事態宣言」が出される前、神奈川県の黒岩知事は「東京と神奈川は一体で足並みがそろうことが大切だ」などと発言し、休業要請の対象は都と足並みをそろえて打ち出す考えを示していました。

しかし、宣言が出されると一転し、7日夜発表された県の緊急事態措置の実施方針では、外出の自粛に重点がおかれ、事業者の休業については「自粛の効果やクラスターの発生状況を見極め、段階的に行う」として、現時点での休業要請には踏み込みませんでした。

この発表にあわせて黒岩知事は「休業を要請するなら補償とセットでなければ事業者の理解は得られない。外出自粛が徹底されれば要請する必要もなくなるのではないか」などと述べていました。

方針が一転した背景について県の担当者は「知事の発言は『東京と神奈川は気持ちの上では一体だ』という思いの表れだ」としたうえで、現時点では、都と県では感染者数の増加状況など切迫性が異なるほか、事業者に休業を求めた場合に補償をするための財政力にも差があるとして、政府の基本的対処方針に添った今回の実施方針に至ったと話していました。

その一方で、東京に隣接し多くの人が行き来する自治体として、都がどのような業種に休業要請をするのか、注視していきたいとも話していました。

黒岩知事は8日の会見で、「知事の権限があったとしても補償ができなければ休業の要請はできない。要請と補償はセットで、国にその仕組みを作ってもらいたい」と改めて述べ、国が補償をすれば休業要請をすることも含め、必要な対応を検討していく考えを強調しました。