きょう緊急事態宣言へ 衆参両院の議運委で与野党の質疑

きょう緊急事態宣言へ 衆参両院の議運委で与野党の質疑
新型コロナウイルスの感染拡大で、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を行うのを前に、安倍総理大臣は衆参両院の議院運営委員会に出席し、与野党の質疑が行われました。

自民 岸氏

このうち衆議院の議院運営委員会で、自民党の岸信夫氏は「緊急事態宣言を発令するにあたり、どのような考えにより決断したのか。今月2日には、『瀬戸際の状態が続いている。必要ならちゅうちょなく決断し実行する』と述べているが、なぜ本日の決断となったのか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「きのう諮問委員会の尾身会長から、『緊急事態宣言の準備を進めるべき』とのご意見をいただき、緊急事態宣言を行うこととした。発出にあたっては、感染者の受け入れ対策や国民の理解推進など、いたずらに混乱を招くことがないように周到な準備が必要であり、こうした点を総合的に勘案し、本日の判断に至った」と述べました。

立民 枝野代表

立憲民主党の枝野代表は「緊急事態を宣言し、感染拡大防止策を強化することは、遅きに失したとはいえ一定評価する。すでに収入の道が閉ざされた人から、悲鳴が上がっている。多くの中小、小規模事業者は倒産しかねない危機にあり、個人に対する一律の給付、損失に対する減収補填(ほてん)など、対応は待ったなしだ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「多くの中小、小規模事業者の事業の継続に大きな支障が生じている中で、歯を食いしばって頑張っている方に何としても事業を継続してもらう。45兆円を超えるこれまでにない強力な資金繰り支援、本邦初となる26兆円の税、社会保険料の大胆な猶予制度、史上初めての事業者向けの現金給付など、政策を総動員して事業の継続を後押しし、雇用を守り抜いていく」と述べました。

国民 玉木代表

国民民主党の玉木代表は「緊急事態宣言の1か月程度という期間は、どういう条件が満たされれば解除されるのか、延長はありうるのか。外出の自粛を求めているが、多くの働く人は出勤していいかどうか迷っている。明確な方向を示してもらいたい」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「緊急事態宣言は、外出自粛の徹底などの取り組みの効果を確認するため1か月は必要であり、一定期間経過後は、専門家の評価をもらいながらその後の判断をしていく。社会機能を維持するため仕事は継続してもらわなければいけないが、テレワークなどの一層の深掘りで、なるべく出社せずに仕事をしてもらう方には、さらにお願いしていきたい」と述べました。

公明 平木氏

また、参議院の議院運営委員会で、公明党の平木大作氏は緊急経済対策について、「国民、事業者にとって、この危機をどう乗り切るのかということが最大の関心事で、乗り切ることができなかったらV字回復そのものがない。感染症拡大の終息のめどがつくまでの間、極めて重要なのが手元の資金、キャッシュだ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「今回の経済対策は、雇用を守り生活を守るための対策だ。中小、小規模事業者の皆さんは手元の資金がないと事業が継続できない。強力な資金繰り支援を行うが、お金を貸すだけではなく、個人で収入が減った方々については30万円、中小、小規模事業者には、最大200万円を給付するなど思い切った対策によってしっかりと雇用を支え、生活を守っていきたい」と述べました。

維新 東総務会長

日本維新の会の東総務会長は「これからイベントの自粛や施設の利用制限などを知事が要請していくので、交付金の使い方も裁量権を拡大すべきだ。指定された地域で防護服やマスクが足りなくなる可能性もあり、重点的に供給できる仕組みをお願いしたい」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「地方自治体に対し1兆円の交付金で対応するが、どのように配っていくかは、総務省がより必要なところなども含めて判断していく。医療用のマスクやガウンなどの配分は、緊急事態宣言の対象となった都道府県も含めた地域の状況などを把握しつつ、都道府県の要請も踏まえて対応していきたい」と述べました。

共産 小池書記局長

共産党の小池書記局長は「補償なき緊急事態宣言では、いくら休みたくても働きに出るしかない市民がたくさんいる。外出を控え、店を閉め、営業休止というのがあれば、正規労働者も非正規労働者もフリーランスも自営業者も、ひとしく損失を補填するということによって、感染拡大を防ぐ対策が徹底されるのではないか」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「例えば、バーやクラブなどの売り上げをすべて補償することはできない。その中で、最大200万円を給付していくと申し上げているが、同時に、そういう業種に付属して、酒を納入する業者の方々も補償するというのが私たちの考え方だ」と述べました。

対象地域での選挙について

緊急事態宣言の対象地域での選挙について、安倍総理大臣は「選挙は民主主義の大原則であり、不要不急の外出にはあたらない。期日前投票の積極的な利用などにより、投票所に人が集中することを避ける取り組みを要請している」と述べました。