北海道 白老町のアイヌ文化発信拠点 開業1か月余延期へ

北海道 白老町のアイヌ文化発信拠点 開業1か月余延期へ
国土交通省などが北海道白老町に整備したアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」について、赤羽国土交通大臣は、開業時期を当初の今月24日から1か月余り延期して、来月29日とすることを明らかにしました。
「ウポポイ」は、アイヌ文化を発信するため北海道白老町に整備された国立博物館などの施設の愛称で、今月24日に開業を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国や地元自治体などが開業時期の検討を進めてきました。

これについて、赤羽国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で「北海道ではこのところ感染の状況は安定傾向にあり、特に白老町では感染者は確認されていないが、全国的な感染状況や地元の意向も踏まえ、ウポポイを最高の形でスタートさせることが重要だと考えた」と述べて、開業時期を当初の予定から1か月余り延期して来月29日とすることを明らかにしました。

そのうえで赤羽大臣は「新たな開業日までの間を『攻めの準備期間』として位置づけて、ウポポイの認知度の向上など来場を一段と加速する取り組みを進めていきたい」と述べました。

白老町長「情報発信やPRに取り組む」

北海道白老町の戸田安彦町長は「オープンを楽しみにしていた町民にとっては大変残念なことだが、国内外の状況を考えると国の判断は正しいと考えている。ウポポイから感染者が出る可能性もあるため、白老町としてはきのう、開業よりも感染拡大防止に努めたいという意向を国に伝えた。1か月の期間ができたので、さらなる情報発信やPRに取り組みたい」と話していました。

アイヌ協会理事長「延びた分だけきちんと準備」

北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は「残念な気持ちだが、新型コロナウイルスの影響で日本全国のイベントが中止や自粛となっているので、ウイルスを克服してから開業するほかない。1か月の延期期間については長いとも短いとも思わない。ウポポイのオープンはアイヌ民族が待ち望んでいた歴史の1ページでもあるので、準備期間が延びた分だけきちんと準備をして、多くの人が来てくれることを期待しています」と話していました。