国連事務総長「強力な国際協力必要」途上国の感染拡大に危機感

国連事務総長「強力な国際協力必要」途上国の感染拡大に危機感
国連のグテーレス事務総長はNHKのインタビューで、新型コロナウイルスの感染が医療態勢のぜい弱な途上国で拡大することに強い危機感を示したうえで「強力な国際協力が必要だ」と述べ、感染の拡大を抑えるには自国の対策だけでなく途上国を支援することが鍵になるという考えを強調しました。
アメリカ ニューヨーク市の国連本部からテレビ電話でインタビューに応じたグテーレス事務総長は「第2次世界大戦以降例のない難局だ。多くの人が命を落とし経済は荒廃している」と述べ、戦後最大の危機だという厳しい現状認識を示しました。

そのうえで「感染症対策で各国の間の連携が不足していることは明白だ。何よりもより強力な国際協調が必要だ」と述べ、今後の感染拡大を抑えるには自国の対策だけではなく医療態勢がぜい弱な途上国などを支援することが鍵になると強調しました。

国連は先月25日、途上国、紛争当事国、難民キャンプなどの感染対策を支援するため20億ドル規模の計画を発表していますが、各国からの資金拠出の表明は4億ドルにとどまっています。

この計画についてグテーレス事務総長は、日本は最大の資金拠出国であるとして感謝の意思を示したうえで「世界は医療保健サービスへの投資が不可欠だと知る必要がある。日本の指導力は医療制度を世界に普及するうえで絶対に欠かせない」と述べて日本の貢献に強い期待を示しました。

一方、国連の専門機関のWHO=世界保健機関が事態を過小評価し、世界的大流行の宣言が遅れたのではないかという指摘があることについては「課題はあったとしても、限られた資源の中で最前線で闘っていることを誇りに思っている」と述べて擁護しました。

国連は、先進国が自国の対応に追われる中で、今後、途上国で感染が拡大することへの危機感を強め、各国に支援を求めています。