乳児が新型コロナウイルス感染 重症で集中治療室に 山梨

乳児が新型コロナウイルス感染 重症で集中治療室に 山梨
山梨県は1日、県内で新型コロナウイルスに感染していることが確認された0歳の女の子が肺炎の症状で集中治療室で治療を受けていることを明らかにしました。厚生労働省は「感染した乳児が重症化したのは初めてではないか」としています。
山梨県によりますと、1日、県内で新たに2人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。

このうち1人は県内に住む0歳の女の子で、31日、心肺停止の状態で山梨大学医学部附属病院に搬送されてきたということです。

病院がPCR検査を行ったところ、新型コロナウイルスの感染の陽性が確認されたということです。

県によりますと、女の子には肺炎の症状があり現在、集中治療室で治療を受けています。

また、女の子の両親はPCR検査で陰性が確認されたということで、県は感染した経緯などを調査しています。

厚生労働省は「乳児が感染するケースはこれまでにもあったが、重症化したのは初めてではないか」としています。

病院会見 女の子の容体は

女の子が入院している山梨大学医学部附属病院が1日夜、会見を開き、女の子の状態などを説明しました。

山梨大学医学部附属病院の会見によりますと、31日、県内の中北地域に住む0歳の女の子が自宅で心肺停止の状態となり、山梨大学医学部附属病院に搬送され、病院がPCR検査を行ったところ新型コロナウイルスの感染の陽性が確認されました。

現在、女の子は心肺停止の状態ではなくなったものの、意識不明の状態が続き、一般とは隔離された集中治療室で治療を受けているということです。

一方、病院によりますと、両親には症状が見られなかったほか、搬送されたときの女の子のCT検査では肺炎の所見は軽く、心肺停止状態と肺炎は関係ないと考えられたことから、当初、女の子に接した職員は特別な装備などは身につけず、一般の集中治療室に運び入れたということです。

PCR検査で陽性の結果がでたあと、すぐに隔離されましたが、女の子と濃厚に接触したのは小児科医や看護師など病院関係者44人と、集中治療室にいた患者2人、それに女の子が使ったCT室を使った患者10人の合わせて56人いるということです。

病院では、病院関係者を14日間の就業制限にしているほか、患者については個室で健康観察をしたり、保健所に相談したりして、対応を協議しているということです。

病院では、診療機能を維持するため県内のほかの医療機関などからスタッフを派遣してもらうとともに、当初、新型コロナウイルスへの感染を予見できなかったことについて、今後、救急診療も含めた初期診療体制の見直しを図りたいとしています。

乳児は重症する割合高い 中国の研究グループ

中国の研究グループが新型コロナウイルスへの感染が確認されたり、感染した疑いがあったりした子ども合わせて2000人余りの症状を調べたところ、1歳未満の乳幼児など年齢が低いほど重症化する割合が高かったことがわかりました。

これは中国の小児科の病院や大学などの研究グループがアメリカの医学雑誌の電子版で発表したものです。

グループではことし1月中旬から2月上旬までに中国国内で新型コロナウイルスへの感染が確認されたり、症状などから感染した疑いがあったりした18歳未満の子ども、合わせて2143人について、症状などを分析しました。

その結果、症状の重さは、
▽軽症の子どもが、全体のおよそ半数にあたる1091人、
▽中等症の子どもが全体のおよそ39%にあたる831人、
また、
▽無症状の子どもが94人となりました。

一方で、およそ6%にあたる127人が重症化し、このうち2人が死亡していました。

子どもが重症化する割合を年齢別に分析すると
▽1歳未満が、10.6%
▽1歳から5歳が7.3%
▽6歳から10歳が4.2%
▽11歳から15歳が4.1%
▽16歳以上が3%となり、年齢の低い子どもほど重症化する割合が高くなっていました。

研究グループでは、「子どもたちの症状は大人に比べると重くはなかったが、幼い子ども、特に乳幼児は新型コロナウイルスの感染により、重くなりやすい」と結論づけています。

専門家「子どもも絶対安全とはいえず」

子どもが重症化するケースは、高齢者に比べると少ないものの、中国などで報告されています。

中国の研究グループは、中国 武漢で、ことし1月、新型コロナウイルスに感染して肺炎などの症状が出て入院した1歳から7歳の子ども6人のケースについて報告していて、このうちの1人は重症化して集中治療室で治療を受けたということです。

これらのケースでは、全員が回復し、退院したということです。

また、中国の疾病予防センターが2月11日までに中国本土で新型コロナウイルスの感染が確認されたおよそ4万5000人のデータを分析した結果、10歳未満の子どもで感染が確認されたのは全体の0.9%にあたる416人で、死亡したケースはなかったとしています。

子どもの感染症に詳しい愛知医科大学の森島恒雄客員教授は「子どもは重症化しにくいと言われてきたが、最近、海外からは特に3歳未満の子どもが重症化したケースの報告が出てきている。子どもが感染しても絶対に安全だとはいえず、特に保育所や幼稚園など小さな子どもを扱う施設での予防策の徹底が重要だ」と話しています。