入社式 中止や入口で出迎え 一人ずつ実施も…異例の対応

入社式 中止や入口で出迎え 一人ずつ実施も…異例の対応
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が1日の入社式を中止したり、延期したりしましたが、感染拡大を防ぐための異例の対応を取って入社式や新入社員の出迎えを行った企業もあります。
このうち東京 大田区のリコーの本社では、新入社員およそ170人の入社式が個別に行われました。

感染拡大を防ぐため、マスクをした新入社員が1人ずつ順番にホールに呼び込まれ、山下良則社長の前で自己紹介や意気込みを語りました。

新入社員の代表の國森利博さんは「変革の当事者として頑張っていきたい」と抱負を述べました。

山下社長は「新入社員のピュアな緊張感と高揚感を大切にしようと思い、産業医とも相談して個別に入社式を開くことにした。こういう時だからこそ新入社員の活力を期待したい」と話していました。
一方、伊藤忠商事は全体での入社式を中止にする代わりに、東京 港区の本社の入り口で岡藤正広会長らが120人の新入社員を出迎えました。

大きな拍手の中、マスクをした新入社員が一定の距離をおいて緊張した面持ちで会社に入りました。

新入社員たちはオリエンテーションを受けたあと、今月10日まで在宅でパソコンなどを使って研修を受けるということです。

岡藤会長は「社会人としての節目なので、できるかぎり印象に残るような出迎えをしたかった。マスク姿だったが若い世代のエネルギーは感じました」と話していました。

中小企業の合同入社式は中止

都内の中小企業でつくる団体は毎年4月に合同入社式を開いてきましたが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中止となり、新入社員はそれぞれの会社で新たな一歩を踏み出しました。


都内の中小企業の経営者、およそ2400人が加盟する「東京中小企業家同友会」では、37年前から毎年4月に各社の新入社員が一堂に集まる合同入社式を開いてきました。ことしの式にはおよそ60社から200人ほどの新入社員が参加する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、中止を決めました。

中小企業の中には新人研修に人手を割くのが難しいところもあり、例年、入社式のあとには3日間にわたる合同の研修会も行ってきましたが、ことしは研修の内容をまとめた動画を配信したということです。

東京中小企業家同友会の佐々木喜興さんは「中小企業は採用人数が少なく、入社式や研修会は、新入社員どうしが企業の枠を超えて不安を共有したり、励まし合ったりする場になっているので、中止は非常に残念です。今後のフォローをしっかり考えたい」と話していました。

一方、合同入社式に参加する予定だった東京 大田区の水道工事会社の新入社員5人は1日、みずからの会社に出社し、朝礼で自己紹介しました。そして先輩社員の社内を案内され、業務内容などについて説明を受けていました。

新入社員の1人の清水武尊さんは「合同入社式が中止になったのは残念ですが、気を引き締めて頑張って働きたい」と話していました。

また水道工事会社の木村晃一社長は「新型コロナウイルスの感染が広がる中、新入社員が出社できるのか不安でしたが、全員そろってうれしいです。5人の活躍を期待したい」と話していました。

マスク着用・消毒・検温…対策して実施も

福岡市中央区にある「西日本シティ銀行」の研修施設で開かれた入行式には、新たに働く行員およそ150人が出席しました。入行式では出席者はマスクを着用し、会場の入り口で手の消毒や検温などを行う対応を取りました。また、席の間隔もあけられ、出席する役員も減らして式が行われました。

谷川浩道頭取は「新型コロナウイルスによる影響は見通せないが、強い危機感を持ってお客様を支えることが地銀の大切な使命だ」と述べ、地域の企業への支援を担う行員として自覚を持つよう呼びかけていました。

新入行員の代表の瀬尾勝太さんは「九州や福岡の企業への影響が予想されるが、こうした時こそ存在感を示し、地域の元気を創造していきたい」とこたえていました。

この銀行では感染対策として、例年は1か月だった研修期間を3週間に短縮したほか、研修施設への泊まり込みを取りやめました。

新入行員の関岡奈々さんは「不安と焦りを感じているが、入行式という節目に社会人の自覚を持ってこれから頑張りたい」と話していました。

一方、福岡県内の企業では、九州電力が入社式を中止したほか、規模を縮小して行う企業もあり、さまざまな影響が出ています。