カリブ海で停泊中のクルーズ船 重症者の下船で調整続く

カリブ海で停泊中のクルーズ船 重症者の下船で調整続く
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乗客の一部が新型コロナウイルスに感染し、アメリカ南部フロリダ州に向かっているクルーズ船は現在、カリブ海にあるコロンビア領の島の沖合に停泊していて、症状が重い人たちを船から下ろすことができないか、調整が続いているということです。
このクルーズ船は、アメリカ西部シアトルにある会社が運航する「ザーンダム」です。

今月7日、乗客乗員1800人以上を乗せて南米のアルゼンチンを出発し、21日にチリに到着する予定でしたが、乗客2人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたほか、発熱やせきの症状を訴えていた高齢の4人が死亡し、予定を変更してアメリカ・フロリダ州に向かっています。

船の運航会社によりますと「ザーンダム」には2人の日本人も乗っているということです。

船はパナマ運河を通過して太平洋からカリブ海に入っていますが、フロリダ州のデサンティス知事はメディアに対し「多くの人をフロリダに置き去りにすべきでない」と述べて入港に難色を示しました。

ザーンダムから、29日に別のクルーズ船に乗り換えたアメリカ人の夫婦によりますと「ザーンダム」は、現在カリブ海にあるコロンビア領の島の沖合に停泊していて、症状が重い人たちを船から下ろすことができないか、コロンビア政府と調整が続いているということです。

クルーズ船乗客「事態は急激に悪化」

クルーズ船「ザーンダム」の船内の様子について、29日まで乗り合わせていたアメリカ人の夫婦が、SNSを通じてNHKのインタビューに応じました。

インタビューに応じたのは、東部ニュージャージー州に住む、リック・デ・ピーニョさんと、ウェンディー・デ・ピーニョさんです。

リックさんによりますと、2人はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウイルスの集団感染が起きたことを知っていましたが、南米であれば安全だと思いアルゼンチンのブエノスアイレスからクルーズ船に参加しました。

しかし、出発からおよそ2週間後の22日になって、船長から乗客に対して自室を出ないよう指示が出され、マスクを付けた乗員が船内を消毒したということです。

乗客のうちデ・ピーニョさん夫妻ら体調に問題のない人たちは29日、クルーズ船の運航会社が派遣した別のクルーズ船に乗り移りましたが、このクルーズ船も現在、「ザーンダム」と行動をともにしていて行き先が決まらない状況が続いているということです。

リックさんは「南米は感染した人の数が少なく安全だと思っていたが、事態は急激に悪化してしまった」と話しています。