ビッグデータ分析 外出自粛で人出は? 都心部中心に大きく減少

ビッグデータ分析 外出自粛で人出は? 都心部中心に大きく減少
不要不急の外出の自粛が呼びかけられた週末、東京都内の人出はどう変化したのか。NHKが携帯電話の位置情報のビッグデータを元に分析して推計した結果、最大で4割人が減少した区もあるなど、都心部を中心に人が大きく減っていたことがわかりました。
NHKは28日と29日、午前9時から午後7時の日中に都内にいた人の数について、携帯電話の位置情報のビッグデータをもとに推計し、前の週の土曜と日曜の同じ時間帯と比較しました。

100メートル四方の区画ごとに分析して地図上で表示したところ、東京駅や新宿駅、渋谷駅など都心部の鉄道のターミナル駅を中心に広い範囲で減少していたことがわかりました。

人が減少した率の推計を区ごとに比べると、
▽千代田区で40%と最も減少していたほか、
▽渋谷区で28%、
▽中央区で21%、
▽新宿区で20%、
▽台東区で17%、
▽港区で16%、
▽豊島区で12%となっていました。

一方、世田谷区など住宅地が多い区では、人が増えているエリアも多く見られました。

今回のデータ分析からも、東京都の呼びかけの影響で多くの人が外出を控えて自宅などにとどまったため、ふだんは人が集まる都心部に出かける人が減ったことがうかがえます。

地図に可視化すると…

東京都内の人の増減の推計データを、地図で可視化しました。
▽オレンジ色で示しているのが人が増えたエリア、
▽青色で示しているのが人が減ったエリアです。

山手線の線路沿い、ふだんは人が集中する東京駅や渋谷駅、新宿駅など鉄道のターミナル駅を中心に青色のエリアが広がっているのが目立ちます。

東京駅や銀座の付近では

主要な場所で人がどのように減ったのか。

ふだん、観光客や買い物客でにぎわう東京駅や銀座の付近。銀座の中央通りでは今週末、歩行者天国が中止されました。広い範囲で青いエリアが広がっています。

分析では、▽東京駅のある千代田区で前の週に比べて40%、▽銀座のある中央区で21%人が減ったと推計されます。

渋谷駅・新宿駅周辺では

渋谷駅周辺と新宿駅周辺です。

この週末、デパートや映画館など多くの施設が臨時休業をしました。

人の数は、▽渋谷区で28%、▽新宿区で20%減少したと推計されました。

専門家「外出自粛の要請には一定の効果」

今回の分析結果について、社会心理学が専門の東京大学の関谷直也准教授は「ターミナル駅とその周辺の繁華街で人が減少している傾向が見て取れるので、人との接触を避けるという感染症防止の観点からすると、外出自粛の要請には一定の効果があったと言える」と述べました。

そのうえで「土日に外出を控えても、平日に歩き回っては意味が無い。自粛の目的は『土日に出歩かないこと』ではなく、『人との接触を避けること』であるとしっかりと理解する必要がある」と指摘しました。

また、外出自粛の要請のあと、食料などを買いだめする動きがあったことについて「自粛への備えで商店に人が殺到するような事態になっては本末転倒だ。商店などが閉まってしまうと誤解した人もいたと思うので、行政が自粛を呼びかける際は、スーパーやコンビニは通常どおり営業できることなど『社会状況』をしっかり説明することが大切だ」と話していました。