欧州各国 外出制限の延長・厳格化が相次ぐ

欧州各国 外出制限の延長・厳格化が相次ぐ
ヨーロッパでは新型コロナウイルスの感染者がイタリアで10万人に迫っているほかスペインでも8万人近くに上っています。各国は感染拡大になんとか歯止めをかけようと外出制限の延長を決めたり、厳格化したりしていて外出制限の長期化は避けられない見通しです。
イタリアでは29日、新型コロナウイルスの感染者が5000人余り増えて9万7689人となり、10万人に迫っています。

また死亡した人は756人増え1万779人となりました。またスペインでも感染者が6500人余り増えて8万人近くに上り死亡した人も6528人となっています。

深刻な状況が続くなか、イタリアのボッチャ地方自治担当相は29日、地元メディアとのインタビューで、4月3日までとしている外出制限について「延長は避けられない」と述べ、今後も続ける必要があるという認識を示しました。

またスペインでは、今月14日から続く全土での外出制限について30日からは食料品店や薬局、金融機関などの仕事を除き通勤を認めないと厳しくした上でこの措置を4月9日まで続けるとしています。

さらにフランスも今月末までとしていた外出制限を4月15日までに延長しました。ヨーロッパ各国では感染拡大に歯止めがかからず、外出制限の長期化は避けられない見通しです。

フランス 自治体で独自の強化策も

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてフランスでは外出制限が4月15日まで延長され自治体の間では独自に対策を強化する動きも広がっています。一方で休業を強いられているレストランの経営者からは先行きに不安の声があがっています。

フランスでは29日、新型コロナウイルスに感染した人が4万174人に上ったほか死亡した人も2606人となり、感染拡大に歯止めがかかっていません。

南部のトゥーロン近郊の町では30日から運動や犬の散歩などの外出は自宅周辺の10メートル以内に限るという異例の措置を打ち出しました。

一方でフランスの食の文化を支えてきたレストランの経営者からは店の再開の見通しがたたず先行きに不安の声が上がっています。

フランスのレストラン連盟の会長で北西部のブルターニュ地方でレストランを営むユベール・ジャンさんはNHKの取材に対し、「個人的には将来のことを想像することもできません。いつになったらこの状況が終わるかお店を再開できるかわかりません」と話し、不安を募らせていました。

ジャンさんの店には7人の従業員がいますが休業のため、全員、自宅待機にしているということです。

フランス政府は営業停止となったレストランや商店などの従業員に対し原則として給与の7割を支給する方針を示しています。

ジャンさんはこの方針を評価しつつも、フランスの飲食店の9割は従業員が11人未満の零細企業なだけに支援を着実に実行に移すことが重要だと強調しました。

そのうえでジャンさんは、「まずは新型コロナウイルスを抑えることが最優先ですが、倒産する店が出ずに誰もが営業を再開できるようになってほしい」と話し、業界として、この厳しい状況をなんとか乗り越えたいと願っていました。

英仏 外出制限でDV増加か

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国で外出制限が行われ、人々が家で過ごす時間が増える中、イギリスやフランスでは、DV=ドメスティックバイオレンスの被害の報告が増えているということで、自治体が対策に乗り出す動きがでています。

イギリスの新聞「ガーディアン」によりますと、イギリス南西部のサマセットとエーボンでは、警察に寄せられるDVの報告件数がこの2週間で20.9%増えたということです。

また、中部のグレーター・マンチェスター州でも外出制限をきっかけとするDVの報告があったということで、州では、自宅から出られないことや、収入が減ったことによって人々の家庭内でのストレスが高まっているとみています。

今月17日から外出制限が始まったフランスではカスタネール内相が公共放送「フランス2」の取材に対し、外出制限の影響で、パリとその周辺の3つの県で警察に報告された配偶者間の暴力の件数が、この1週間で36%増加したと明らかにしました。

今後も外出制限が続いた場合、問題がさらに深刻化するおそれがあるとしてイギリスの一部の自治体では配達や介護業者など戸別訪問する人に対して暴力の兆候がみられた場合は通報するよう呼びかけているほか、パリ市も、DVの被害者が一時的に避難するための施設を新たに準備するなど、対策に乗り出しています。

オーストラリアでも厳しい措置

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとしてオーストラリアのモリソン首相は、29日、新たな措置を発表しました。それによりますと、公共の場で行動を共にできる人数を、同じ世帯に住んでいる人を除き2人までに制限するということです。

また、外出が認められるのは、食料品などの買い物や通院のほか、必要不可欠な通勤や通学、それに、健康を維持するための運動に限られるということです。

このほか、高齢者は感染すると重症化しやすいとされることから70歳以上の人については、自宅にとどまるよう強く求めています。

オーストラリアでは、これまでに映画館や遊園地など人が多く集まる施設を閉鎖したり、出歩く際には人との間隔を1.5メートル以上あけるよう求めたりしてきました。しかし、感染者が、きのうより300人以上増えて3966人となるなど拡大が続いており、より厳しい措置に踏み切った形です。