羽田新ルート運用開始もターミナルは利用客少なく閑散

羽田新ルート運用開始もターミナルは利用客少なく閑散
羽田空港では、国際線を増便するため、都心上空を通過する新たなルートの運用が29日から始まりました。風向きの条件があわず、都心上空の飛行は30日以降となったほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ターミナルは利用客が少なく閑散としています。
国は、羽田空港の国際便を増やすため、29日から新たな飛行ルートの運用を始め、国際線は1日当たり50便増え、およそ170便が発着することになります。これに伴い、国際線の第3ターミナルに加え、これまで国内線専用だった第2ターミナルが増築され、29日から国際線も発着する施設として新たにオープンしました。

新ルートでは、南風が吹いた時に新宿や渋谷など都心上空を通って着陸することになっていますが、29日は北風が吹いたため、従来のルートでの着陸となり、都心上空の飛行は30日以降となりました。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で、海外との行き来が減るなか、新たに就航する予定だったアメリカやヨーロッパなど23都市とを結ぶ路線のうち、およそ半数の12都市とを結ぶ路線で就航が延期されています。

第2ターミナルでは、利用客は少なく閑散としていて、航空会社によりますとほとんどの便の搭乗率が2割を下回り、午前11時ごろに出発したシンガポール行きの便は乗客が4人だけとなりました。

ロンドンに駐在する日本人の40代の会社員の男性は「いったん、家族を連れて日本に帰国しましたが、仕事があるのでロンドンに戻ります」と話していました。また、ラーメン店をオープンした柴泉店長は「初日からお客様が少ないのは残念です。早くこれまでのにぎわいを取り戻してほしいです」と話していました。

第2ターミナルが増築

羽田空港は、これまで国内線で第1と第2ターミナル、国際線で第3ターミナルが利用されていました。国際線の発着枠の拡大に伴い、国内線の第2ターミナルが増築され、29日から国際線も発着し、24時間の運用となります。

増築された施設は地上5階、地下1階、延べ床面積6万6000平方メートルで、税関や出入国管理の国際線施設をはじめ、チェックインカウンターや手荷物受け取り場なども設けられています。

このうち、チェックインカウンターは、3階の出発ロビーのほか、地下1階にも設けられていて、駅を降りてすぐに手荷物を預けられることから、手ぶらで空港内の買い物ができるようになるということです。

このほか、保安検査場では手荷物検査の際にトレーが自動で移動する「スマートレーン」と呼ばれるシステムも導入されます。

第2ターミナルには34の出店

新しくなった第2ターミナルの国際線施設には、免税店をはじめ、飲食店や雑貨売り場など「滞在型」の空港を目指し、34店舗が出店しています。

このうち、3階の出発ロビーでは保安検査場を通過したところにおよそ900平方メートルの免税店モールが広がり、日本の家電や化粧品のほか、各地で造られた日本酒やお菓子などが販売されます。

また、2階の到着ロビーには海外から訪れる旅行者に国内各地の観光地や日本の文化、それに交通手段などの情報を提供したり、さまざまな質問に答えたりするカウンターが設けられ、チケットの販売なども行われるということです。

このほか、最上階では書籍をはじめ生活雑貨などさまざまな分野の商品を扱い、本を読みながら飲食ができるカフェを併設した大型の書店も出店しています。

迷わない対策も

羽田空港のターミナルビルを管理する会社では、新たに国際線が発着する第2ターミナルと第3ターミナルを巡回するスタッフの人数を増やして、案内に当たることにしています。

このうち、新しく増築された第2ターミナルでは、利用客が迷わないよう全日空の地上スタッフがバスターミナルに誘導する訓練を行いました。

バスターミナルでは、無料のバスが第1ターミナルと第2ターミナルの間のほか、第1ターミナルと第2ターミナル、それに第3ターミナルを循環する2つのルートがあり、これまで行き先を間違えて乗る人も少なくありませんでした。

このため、行き先が一目で分かるようバスのデザインを変更し、窓枠いっぱいに「T1」「T2」「T3」と停車するターミナル名を表示しています。

ANAエアポートサービスの林ひとみさんは、「積極的に声をかけてしっかりと案内し、リニューアルされた空港で迷う人が出ないよう努めていきたい」と話していました。

エアラインの引っ越し

今回の国際線の増便で、アメリカの大手航空会社「デルタ航空」が、成田から撤退し、すべての便を羽田に移しました。

羽田からの定期便は、シアトル、デトロイト、アトランタ、ホノルル、ポートランドの新規5路線と、これまでのミネアポリス、ロサンゼルスの合わせて7路線となります。このため、デルタ航空は、824平方メートルの広い空港ラウンジを工事中で、ことしの夏に開設する予定です。

ラウンジでは提供する軽食のメニューを季節ごとに変え、カクテルやワインの品ぞろえにも力を入れるほか、シャワールームも設置します。

このほか、アメリカの大手航空会社「ユナイテッド航空」も、新たに4路線が就航する予定で、第3ターミナルにあるオフィスが手狭になることからより広いオフィスに引っ越しました。