障害者福祉施設で計58人の感染確認 千葉 東庄町 新型コロナ

障害者福祉施設で計58人の感染確認 千葉 東庄町 新型コロナ
千葉県は28日夜、東庄町にある障害者福祉施設で職員と入所者合わせて57人が新型コロナウイルスに感染していることが新たに確認されたと発表しました。この施設では、すでに感染確認が発表されていた調理員の40代の女性を含め、合わせて58人の感染が確認されたことになります。
千葉県の森田知事は28日夜、記者会見を開き、東庄町の障害者福祉施設、「北総育成園」の職員31人、入所者26人の合わせて57人の新型コロナウイルスへの感染が新たに確認されたと発表しました。

この施設については、香取市に住み、調理員として勤める40代の女性の感染が確認され、ほかの職員の中にも今月10日ごろから発熱の症状があったことからウイルス検査が進められていました。

県によりますと、これまでに感染が確認された58人のうち、職員6人と入所者26人には発熱がありますが重症ではないということです。一方、このほか検査で陽性だった職員26人には症状がないということです。

県によりますと職員2人と入所者42人、短期の入所や通所の利用者9人についても引き続き検査が行われ、結果が判明するのは29日の見込みです。

感染が確認された32人の職員全員は、県内の医療機関に入院させますが、入所者の場合は障害があり、受け入れできる医療機関がまだ見つかっていないことから、施設内にとどまってもらい、医師が訪問するなどして治療や健康観察に当たるということです。

また、入所者のうち、食事などの介助が必要な人については、感染していない職員が防護服を着るなどの対策を取って対応する予定です。

施設は船橋市が社会福祉法人に委託して運営され、非常勤や実習生を含めて職員は67人で、20代から80代までの70人が入所し短期や通所の利用者が合わせて9人となっています。

千葉県は施設内での集団感染について、「障害の重い人も多く、通常の施設に比べ、職員と入所者の接触が多かったことも影響したのではないか」と話しています。千葉県は、国や船橋市と協力しながら、対応に当たりたいとしています。

北総育成園とは

28日までに利用者や職員合わせて58人の感染が確認された「北総育成園」は千葉県東庄町にある障害者支援施設です。

この施設は船橋市が設置し、市が指定管理者の「社会福祉法人さざんか会」に運営を委託しています。昭和49年に開園し、現在は主に知的障害のある20代から80代までの合わせて70人が入所しているほか、短期の入所者が6人、通所の利用者が3人いるということです。

また県によりますと、施設では67人の職員が働いているということです。

入所者は個室に入居する一方、昼間は食堂に集まって一緒に食事をとったり、6人から10人ほどのグループで農作物の栽培や工芸品の制作などの共同作業を行ってきたということです。

28日からは共同作業を中止した上、食事も個室で取るようにしたということです。

専門家「施設内は3つの密が重なりやすい」

千葉県の障害者福祉施設で職員と入所者合わせて58人の感染が確認されたことについて、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「かなり大きな感染者の集団、いわゆる『クラスター』だが施設内ということなので、適切に対処すれば、ここから外に広がるリスクは低いと考えられる。一般的に施設内の環境は、換気などに気をつけていてもどうしても密閉、密集、密接の3つの「密」が重なりやすく、アメリカなどでも施設での集団感染が起こっている。こういう事態が起こることを想定し、職員の検温を行い、体調が悪い場合は出勤しないことや家族など外から来る人の衛生管理を徹底することなど施設内に持ち込まない対策をとることが重要だ」と話していました。