JFEホールディングス 赤字転落へ 生産能力削減も

JFEホールディングス 赤字転落へ 生産能力削減も
鉄鋼大手の「JFEホールディングス」は、世界的な鉄鋼需要の低迷に伴ってことし3月期の業績予想を下方修正し、1900億円の最終赤字に転落する見通しだと明らかにしました。合わせて川崎市にある製鉄所の高炉1基を休止するなど生産能力の削減に踏み切ると発表しました。
これはJFEホールディングスが都内で記者会見して明らかにしました。

それによりますと、アメリカと中国の貿易摩擦など世界的に鉄鋼製品の需要が低迷していることから、ことし3月期の業績予想を下方修正し、最終的な損益が130億円の黒字から1900億円の赤字に転落する見通しだとしています。

赤字となるのは8年ぶりで、赤字幅は過去最大だということです。

これに合わせて、国内の生産能力の削減に踏み切ります。具体的には、川崎市にあるJFEの主力製鉄所、東日本製鉄所京浜地区の高炉1基を2023年度をめどに休止するなどして、粗鋼の生産能力をおよそ13%削減します。

これに伴って、休止される設備で働く従業員およそ1200人は配置転換などで雇用を維持するとしていますが、グループ会社や協力会社の従業員およそ2000人については、同じ場所で仕事を続けることができるかどうか、可能性を検討していきたいとしています。

JFE社長「極めて厳しい経営環境に直面」

国内の生産能力の削減を決めた背景についてJFEスチールの北野嘉久社長は会見で「米中の貿易摩擦による鉄鋼需要の低迷や中国の生産能力向上による原料価格の高止まりと製品価格の下落などで、これまで経験したことのない極めて厳しい経営環境に直面している」と述べました。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響について北野社長は「今回の構造改革は感染の拡大前から考えて判断に至ったものだ」としたうえで「人とモノの移動まで制限されるというリーマン・ショックではあり得なかったことが起きている」と述べ、今後、需要の動向次第で生産量を調整する可能性があるという認識を示しました。