新型コロナウイルス感染拡大 各国の景気対策は

新型コロナウイルス感染拡大 各国の景気対策は
新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化が懸念されていることをうけて、各国は、休業した人などに手当てを支給するしくみや企業を支援する対策を打ち出しています。

中国

中国では今月3日、中国財政省の社会保障局が中小企業を中心に企業活動が再開できていないところが多いことをうけて、企業が負担する年金や失業保険などの負担をおよそ5100億人民元、日本円で7兆9000億円余りを軽減していく対策をとったことを明らかにしました。
また、失業保険の受給資格を満たしていない人に対しても、6か月間の失業補助金を支給するなど、失業者への支援も強化しています。

アメリカ

アメリカのトランプ政権は今月、2兆ドル、日本円で220兆円にのぼる緊急の経済対策を計画し、議会で審議が進められています。
これは、2008年のリーマンショックの際の緊急対策を大きく上回る規模で、個人に最大1200ドル、日本円でおよそ13万円の現金を給付する措置のほか、航空業界や中小事業者への資金支援が含まれています。

イギリス

イギリスでは外出が事実上、禁止され、スーパーや薬局などを除くすべての店舗を閉鎖する措置がとられたほか、企業の間で事業を休止する動きが広がっています。
このため政府は雇用が維持されるよう従業員の賃金の80%を月2500ポンド、およそ33万円を上限に肩代わりすることを決めました。このほか3300億ポンド、43兆円規模の資金繰り支援策なども打ち出しています。

ドイツ

ドイツは、7500億ユーロ、およそ90兆円規模の対策を取りまとめました。
この中では、大企業向けに4000億ユーロの債務を保証し、1000億ユーロを企業への出資に充てるほか、さらに1000億ユーロを企業支援を進める政府系の金融機関に融資します。
このほか、経営がふだん通りできなくなった従業員10人以下の事業者に対しても3か月で最大1万5000ユーロ、およそ180万円を支給することにしています。これに伴い、1560億ユーロ、日本円にしておよそ18兆8000億円の赤字国債を発行します。
ドイツはメルケル政権のもと、均衡財政を維持してきましたが、7年ぶりに赤字国債を発行することになり、基本方針の転換を迫られた形です。

韓国

韓国では、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が総額100兆ウォン規模、日本円にしておよそ9兆円の金融支援策を発表し、社債の購入などを通じて企業の資金繰りを援助し倒産を防ぐとしています。
また新型コロナウイルスの影響で1か月以上、操業を停止するなどした企業に対して社員の休職手当ての9割相当を「雇用維持支援金」として支給するほか、従業員が隔離や入院を余儀なくされて有給休暇を取得した場合には、1人当たり1日最大で13万ウォン、およそ1万2000円を企業に補填(ほてん)するとしています。