【記者解説】東京での急増「爆発的な感染拡大」の兆しなのか?

【記者解説】東京での急増「爆発的な感染拡大」の兆しなのか?
k10012350801_202003260722_202003260723.mp4
東京都の小池知事は、25日夜、緊急に記者会見を開き、都内で新型コロナウイルスの感染者が急増している状況について「感染爆発の重大局面だ」と述べ、今後、爆発的な感染につながるおそれがあるという強い危機感を表明しました。

東京でこの3日間、急速に感染者が増えているのは、「爆発的な感染拡大」の兆しなのか?。科学文化部の水野雄太記者が解説します。

「爆発的な感染拡大」起きるのか その分かれ道に

Q:東京で急速に感染者が増えているのは「爆発的な感染拡大」の兆しなのか?。

A:爆発的な感染拡大が起きるのかその分かれ道に来ているといえると思います。

東京都で感染が確認された人の数の推移をみますと、感染者の数、全体としては、東京都で212人ですから、今は「爆発的な感染拡大」の状況ではありません。

ただ、都が注目しているのが増え方です。この3日間で、急激に人数が増えています。

また、どこから感染したのかわからない患者も増加しています。この状態が続き、特に対策がとられなければ、この傾きのまま、どんどん感染者が増えてしまい、「爆発的な感染拡大」につながってしまうと考えられているんです。

一度、爆発的な感染拡大が起こってしまうと少しの対策では止められなくなります。まさに今が、この傾きをなだらかにできるのか、その分かれ目にいるといえます。

「3つの密」避けることが最重要ポイント

Q:「感染経路がわからない人が増えているということだが、そうなってくると、『3つの密』が重なる場所に気をつけるだけでは十分ではないのではないか」という質問が視聴者から寄せられています。

A:これについては、感染経路が見えているかどうかに関わらず、「3つの密」を避けることがもっとも重要なポイントだといえます。

新型コロナウイルスは人と人との接触でうつっていくわけですから、できる限り人との接触を控えるということが対策の基本となります。

ただ、これまでの研究で、新型コロナウイルスでは、感染した人のおよそ8割は、誰にも感染を広げていなかったことが分かっています。

つまり集団感染を防ぐことができれば、感染の広がりを大幅に抑えることができると考えられているんです。

そのためのに大切なのが「3つの密」、「3密」です。「密閉」された場所で、多くの人が「密集」し、近い距離で会話するなどの「密接」な環境、この3つの条件が重なるのをできる限り避けることで集団感染のリスクを減らせるとされています。
感染経路が分からない場合、見えていないところで、集団感染が起こっているおそれがありますが、見えているかどうかに関わらず、新たな集団感染が起こるのを徹底して防ぐこと、つまり「3密」を避けることがもっとも重要なポイントです。

一人ひとりが冷静に行動を

Q:海外では、感染が広がって外出禁止などの措置がとられた際に、商品を買い求める人が店に押し寄せたり、検査を受けようと病院に詰めかけたりする光景を目にします。東京でも心配ですが、こうした行動には問題はないのでしょうか?。
A:この時期、普通のかぜも多いので体調を崩したりすると、不安になる人も多いと思います。

ただ、医療機関はもちろん、1つの場所に多くの人が詰めかけてしまうとまさに「3つの密」の環境が生まれてしまうおそれがあります。

イタリアなど、海外では院内感染が広がって医療従事者が感染してしまったケースが数多く起きたと指摘されています。

今回の東京都の呼びかけは、爆発的な感染拡大を防ぎ、重症化する人の命を1人でも多く救うためのものです。

一人ひとりが感染を広げないためになにができるのかを考え、冷静に行動することが求められています。

また、そのためにも国や自治体は必要な情報を迅速に提供していくことが必要です。