米ではアジア系住民への差別が深刻化 新型コロナ感染拡大で

米ではアジア系住民への差別が深刻化 新型コロナ感染拡大で
新型コロナウイルスへの感染が急速に拡大しているアメリカでは、感染が最初に広がった中国などアジア系の住民に対する差別が深刻化していて、専門家はトランプ大統領が「中国ウイルス」と呼んで差別を助長するような発言をしたことが状況をさらに悪化させていると指摘しました。
人種差別の問題に詳しい、アメリカのメリーランド大学ボルティモアカウンティ校のカリッサ・チェア教授はNHKのインタビューに対し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってアメリカ各地で中国などアジア系住民が差別を受け、身の危険を感じる人が増えていると指摘しました。

その背景についてチェア教授は「アジア系住民は、文化や食生活の違いから何世代にもわたって暮らしていても異質な存在として見られてきた。感染拡大はこうした古い考え方や偏見を再燃させてしまった」と述べて、アメリカ社会に潜んでいた差別意識が感染拡大を機に顕在化したと分析しました。

そしてトランプ大統領が記者会見などで新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことについては「学校で先生やクラスメートに『中国ウイルス』と言われていじめられたり、ストレスで眠れなくなったりする子どもも出ている」とし、「トランプ大統領の言動はアジア系住民への差別を助長している」と批判しました。

そのうえでチェア教授は、「状況しだいでは、あらゆる社会的少数派、マイノリティが同じ状況に立たされる可能性があり、社会のあらゆる階層で『差別は受け入れられない』と声を上げていくことがことが必要だ」と訴えました。