トヨタとNTTが資本提携へ「スマートシティー」構想を推進

トヨタとNTTが資本提携へ「スマートシティー」構想を推進
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トヨタ自動車とNTTが互いに2000億円規模の出資を行って株式を持ち合う資本提携に踏み切る方針を固めたことが明らかになりました。自動車と通信で日本を代表する企業による異例の関係強化で、世界的に開発が活発になっている、最先端の街づくり「スマートシティー」の構想を推進するねらいがあります。
関係者によりますとトヨタ自動車とNTTは、互いに2000億円規模の出資を行って株式を持ち合う資本提携に踏み切る方針を固め、24日にも発表する見通しです。

資本提携によって両社は、トヨタが持つ自動運転などの次世代の車の技術と、NTTが持つ高い通信インフラの技術を組み合わせ、5Gの次の世代の通信規格、6Gの活用を視野に新しい移動サービスの開発で幅広く協力し、世界的に開発が活発になっている、最先端の街づくり「スマートシティー」の構想を推進するねらいがあります。

自動車業界では、自動運転や電動化など「CASE」と呼ばれる先端技術をめぐる競争が、また、通信業界では大容量の情報を瞬時にやり取りできる通信サービスを目指した競争がそれぞれ世界的に激しさを増していて、いずれもスマートシティーの推進に欠かせない重要な技術となります。

日本を代表する企業どうしが業界を越えた異例の関係強化に踏み切ることで、最先端の街づくりでリードしたい考えとみられます。

午後3時から会見で説明

トヨタ自動車の豊田章男社長とNTTの澤田純社長は、24日午後3時から東京都内で記者会見し、今回の資本提携について説明することになりました。

トヨタのねらい

トヨタ自動車と通信業界の関係は歴史的に深く、政府が推進した通信の自由化を背景に1984年、大手商社などとともに日本高速通信を設立。通信業界に参入します。

また携帯電話の事業では1987年に日本高速通信などとともに、IDO=日本移動通信を設立しました。

これらの企業は現在のKDDIの前身で、トヨタは12%余りの株式を保有するKDDIの大株主となっていて、NTTグループのいわば“ライバル”といえる存在になっています。

ところが、「CASE」や「MaaS」と呼ばれる新たな車づくりなどへの対応が求められる中、トヨタは生き残りをかけ通信業界と全方位のスタンスで臨むことになります。

去年、ソフトバンクとともに配車サービスなどを手がける新会社「モネ テクノロジーズ」を設立。自治体とも連携しライドシェアの事業化に乗り出しました。

NTTとも2017年に車をインターネットにつなげる「コネクテッドカー」の分野で提携していて、「コネクテッドカー」のさらなる普及に必要な新しい通信インフラの実証実験などを共同で進めています。

移動にかかわるあらゆるサービスを展開する企業への転換を掲げるトヨタとしては、“通信の巨人”NTTとの関係強化に踏み切ることで、自動運転車が安全に走行するシステムの開発だけでなく、世界的に開発が活発になっている「スマートシティー」と呼ばれる最先端のまちづくりなど新しいビジネスで協業を深めるねらいがあるものと見られます。

NTTのねらい

NTTグループは最先端のITを活用したスマートシティーの推進に国内外で力を入れていて、今回の資本提携の背景にあると見られます。

NTTはアメリカ西部のラスベガス市との間で2年前からスマートシティーの実証実験を行い、去年商用化しました。繁華街に設置されたカメラやセンサーの情報をAI=人工知能が分析し、人混みの状況に危険がないかや車の逆走が起きていないかなどの検知や予測を行っています。

ことしに入ってもマレーシアでスマートシティーの実証実験を行うことを決め、交通量の多い交差点にカメラを設置して渋滞の緩和や盗難車の検知などにつなげることを目指しています。

こうしたスマートシティーには車をインターネットにつないだ「コネクテッドカー」から得られる情報も重要になるとされ、NTTは、3年前に「コネクテッドカー」の分野でトヨタ自動車と提携しています。今回、この関係を一段と深め、通信と車という双方の強みを持ち寄ることでスマートシティーの高度化などにつなげたいというねらいと見られます。

また、NTTグループは、今月、サービスが始まる新しい通信規格5Gのさらに次の世代に当たる6Gの研究開発も進めています。5Gに関連する技術では韓国のサムスン電子や中国のファーウェイが強みを持ち世界の研究開発をリードしてきました。

しかし、2030年ごろの導入が見込まれる6GではNTTも巻き返しを図る方針で、さらなる高速、大容量の通信をスマートシティーに導入していかに社会的な課題の解決につなげるかなど、トヨタのノウハウも生かしながら研究開発を進めたいねらいと見られます。

トヨタが建設目指す「未来都市」と実現への課題

トヨタ自動車は静岡県裾野市に「WovenCity(ウーブンシティ)」と名付けた、未来型の新しい都市の建設を目指しています。

この都市は3つの道路が網の目のように織り込まれていることからその名が付けられ、完全自動運転で二酸化炭素の排出がゼロの車や1人乗りの小型のEVなどが専用の道路で走行します。

また自動運転の車はライドシェアと呼ばれる相乗りの送迎や宅配のサービスを行うだけでなく、移動型の店舗としても街を走る計画です。

住宅には家事などを支援するロボットも配備されると見られ、2000人余りが実際に暮らしながら、「MaaS」と呼ばれる新しい移動サービスやロボット技術の実証が行われる見通しです。

これまでトヨタは「MaaS」の展開や最先端の街づくりへの参入を見据え、ことし1月にパナソニックと共同で住宅事業を統合した新会社を設立したり、去年にはソフトバンクと共同で配車サービスを手がける会社「モネ テクノロジーズ」も設立するなど他社との提携を相次いで打ち出してきました。

ただ「WovenCity」の実現に向けては、車のデータなどを瞬時に処理できる大容量の通信インフラの整備や収集したデータの取り扱いなどが課題になっています。

トヨタとしてはこうした課題の解決に向け、「スマートシティー」をアメリカで手がけ、5Gの次の世代の通信規格で大容量の情報を瞬時にやり取りできる6Gの開発を進めるNTTとの関係強化が必要と判断したものと見られます。